経営陣を説得するためにコストではなく“あれ”で切り込んだなるほどの方法アーキテクチャ刷新の道のり【第4回】

一般的にシステムのアーキテクチャを根幹から作り直す作業にはとてもコストがかかる上に、効果が不明瞭になりがちだ。Senserflowにとって、アーキテクチャ刷新のメリットを経営陣にいかに理解してもらうかが課題だった。

2023年07月20日 05時15分 公開
[Edwin YappTechTarget]

 ソフトウェアベンダーのSenserflowは、自社のサービス群のアーキテクチャを刷新するという大掛かりなプロジェクトに取り組んだ。結果として、ITインフラのコスト削減や、非エンジニアであってもデータ抽出可能なダッシュボードの開発に成功した。同社がその結果に至るまでに抱えていた課題と、それをどう乗り越えたのかをを紹介する

経営陣に“コスト”を見せるのは難しい

 Senserflowがプロジェクトを進める上で課題の一つになったのは、アーキテクチャを見直す必要性について経営陣を説得することだった。当初、旧アーキテクチャのコストは見えにくくなっていた。そのため、アーキテクチャ刷新で得られるメリットをコストではなく、ビジネス価値を実証する方向に切り替え、プロトタイプを構築した。

 適切に構造化されたデータベースにアクセスできればデータ抽出の速度が上がり、意思決定の質が向上するメリットが見込める。Senserflowはそれを実証する必要があった。そこで同社は、従来とは異なるデータベースを土台に自社システムの一部を構築したプロトタイプを作成。経営層が実際にビジネス上の価値を体感できるようにすることで、アーキテクチャ刷新の意義を納得させた。

 Senserflowがプロジェクトで得た教訓の一つは、変更管理のプロセスを管理できるベンダーを慎重に見極め、そのベンダーの協力を得ることだという。

 プロジェクトの初期からデータベース設計を深く考える必要がある、という点も同社が得た気付きだ。データの名称や定義、データ同士の役割を規定するデータモデルの構築に1つでも失敗があれば、後々深刻な問題につながりかねない。

 「アーキテクチャを根幹から作り直すのは重労働で、簡単に下せる決断ではないが、正しく作り直せば将来のビジネスを成功に導ける可能性がある」と、Sensorflowの共同創設者で最高技術責任者(CTO)を兼任するマックス・パーゲル氏は述べる。

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