RPAベンダーAutomation Anywhereは主要ツール群「Automation Success Platform」でLLMを利用できるようにした。利用可能なLLMは自社ではく、他社のLLMだ。その背景には何があるのか。
ビジネスプロセスを自動化する「RPA」(ロボティックプロセスオートメーション)ベンダー各社が、自社のRPAツールに「ジェネレーティブAI」(生成AI)を組み込み始めた。生成AIは、テキストや画像などを自動生成する人工知能(AI)技術だ。
RPAベンダーの代表格であるAutomation Anywhereは主要ツール群「Automation Success Platform」(オートメーション・サクセス・プラットフォーム)で、生成AIを実現する「大規模言語モデル」(LLM:膨大なテキストデータでトレーニング済みの言語モデル)を利用できるようにした。ただし利用可能なLLMは、同社が自社開発したLLMではない。
Automation Success Platformのユーザー企業は、市販のLLMを選択して利用することになる。例えば生成AIを組み込んだAutomation Success Platformツールのうち、ビジネスユーザー向けの自動化支援ツール「Automation Co-Pilot + Generative AI for Business Users」の場合、ユーザー企業は使用するLLMを
から選択できる。ユーザー企業はそれぞれのLLMについて、各ベンダーと別途ライセンス契約をすることになる。
知名度で言えば、OpenAIのチャットbot「ChatGPT」の中核であるGPTが群を抜く。ただしRPAツールとの相性は、どのベンダーのLLMが最適なのかは明確ではない。そのため「LLMを自社製品に組み込もうとしているRPAベンダーは、どのLLMを選ぶかに慎重になっている」と、調査会社Deep Analysisのアナリストであるマット・ミューラン氏は説明する。こうした中、Automation Anywhereと同様に、市販LLMからの選択肢を用意する動きがRPAベンダーの間で広がる可能性がある。
Automation Anywhereは、LLMの出力結果に対するフィードバックに人が参加する「Human in the Loop」(HITL)を実践しているという。ユーザー企業に、LLMによる出力結果を快適に使ってもらうためだ。「自動化の手間を削減し、自動化できるプロセスを増やせるように努めている」と、Automation AnywhereのCOO(最高執行責任者)であるマイク・ミクッチ氏は強調する。
後編は、RPAツールで他社のLLMを利用可能にするメリットを考察する。
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