企業のIT部門はどのようにして適切なスキルを持つ人材を獲得すればよいのか。ITコンサルティング企業の経験と知見を基に、そのポイントを紹介する。
IT部門の責任者の70%が、技術の変化に追い付けていないのはスキル不足が原因だと考えている――。ITコンサルティング企業Nash Squaredが2022年に公開した年次報告書「Nash Squared Digital Leadership Report 2022」で、こうした実態が明らかになった。同報告書は、2022年7〜10月に、82カ国のIT部門の責任者1785人を対象に実施した調査に基づいている。IT部門が人材のスキルギャップ(仕事に必要なスキルと、従業員が持つスキルの差)や人材不足に悩まされる問題が収束する気配はない。
本連載は、Nash Squaredとその系列企業で技術開発を担うNash Techの顧客が採用市場で経験したことを基に、スキルギャップや人材不足を解消するためのポイントを紹介する。第1回となる本稿は、人材不足に悩む企業が目を向けるべき人材市場を紹介する。
まずは人材の採用から考えてみよう。採用を成功させるには、以下の要素を検討する必要がある。
上記に加えて重要なのが、誰を採用のターゲットとするかだ。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)を経て、企業の在り方や勤務形態には変化が生じた。最高情報責任者(CIO)をはじめとするIT部門の責任者は、従来採用したいと目を向けてきた人材や、利用してきた採用経路以外にも視野を広げる必要がある。
以降はスキルギャップや人材不足を解消するための方法を、5つに分類して紹介する。
オフィスワークとテレワークを組み合わせた働き方である「ハイブリッドワーク」が社会に浸透しつつある。Nash Squared Digital Leadership Report 2022によると、英国企業の4分の1が海外にいる人材の採用を始めている。この動きは一般的なものになりつつある。実際に会ったことのない人が従業員の一員になるというのはコロナ禍前であればあり得ない状況だったが、現実に起こっているのが現状だ。海外からの人材の採用は、コストの問題ではなく、適切な人材を確保することに重点を置いた結果だ。必要な人材が海外にいるのであれば、その人材を採用してみることも一つの手だ。雇用に関する法律や規制が障壁になる場合もあるが、そうした壁のほとんどは乗り越えることができる。
グローバル化が進展し、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を通じて人々がつながるようになった。SNSなどのツールで興味を持った相手や、その人が持つつながりを活用して海外の人材を探してみるのは一考に値する。
第2回は、適切な人材を採用する代わりに、ITを使って業務を改善する可能性を探る。
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
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