よく知られる「NAND型フラッシュメモリ」以外にも、「EEPROM」といった不揮発性メモリがある。こうした異なる不揮発性メモリはなぜ生み出され、それぞれ技術的にどのような違いや利点があるのか。
電源を失ってもデータを保持するメモリを「不揮発性メモリ」と呼ぶ。その一種に「EEPROM」(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)や、一般的な記録媒体としてよく知られる「NAND型フラッシュメモリ」、さらには「NOR型フラッシュメモリ」などがある。
不揮発性メモリという点でこれらのメモリは同類だが、技術的には一線を画している。EEPROMとNAND型フラッシュメモリ、NOR型フラッシュメモリには技術的にどのような違いや利点があるのか、開発者はなぜこうしたメモリの技術を生み出したのかなどを紹介する。
EEPROMとフラッシュメモリの大きな違いは、データを扱う方法にある。EEPROMがビットごとに2つのトランジスタを使用するのに対し、フラッシュメモリは1個のみ使用する。EEPROMは追加のトランジスタがあることで、メモリの内容を1B(バイト)ずつ変更できる。一方でフラッシュメモリは、32KBから128MB、またはそれ以上のブロック(格納するデータの単位)でデータを消去する。フラッシュメモリはこのブロックでデータを消去する仕組みを採用することで、チップのサイズをEEPROMのチップよりも小さくしている。これが双方のコストの差につながる。
通常、EEPROMは1B当たりの価格で見るとNOR型フラッシュメモリの約1万倍、NANDフラッシュメモリの約1000万倍で販売される傾向にある。こうした価格差があっても使われるのは、それぞれ理にかなった市場があるためだ。
フラッシュメモリの開発者は、EEPROMよりも安価なチップを使用した製品に大きなニーズがあることに気付き、NOR型フラッシュメモリを開発した。NOR型フラッシュメモリでは、データの書き込みの前に消去を実施する。この際、データをまとめたブロックで消去を実施することでチップのサイズを節約し、EEPROMよりもはるかに低価格で販売できるようになった。
NOR型フラッシュメモリはブロック単位の消去と、書き込み前の消去が必要という2つの理由から、EEPROMより操作が複雑になる。だが安価さが急速な普及を促すことになり、NOR型フラッシュメモリは主に組み込みシステムに採用されている。
フラッシュメモリの開発者は、チップをさらに安価にすることを優先しようと考え、NAND型フラッシュメモリを開発した。結果的にその戦略は成功した。NAND型フラッシュメモリは汎用(はんよう)的に広く採用され、NOR型フラッシュメモリよりもはるかに大きな市場を形成した。
後編は、EEPROMとNAND型フラッシュメモリ、NOR型フラッシュメモリの用途を中心に紹介する。
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