AI技術を脅威ではなく「利益をもたらす存在」と見なし、共存する社会を構築するために必要な取り組みの一つが法整備だ。米国やEUにおける法整備の動向を整理する。
AI(人工知能)技術の利用に関して、AI技術の専門家やIT業界のリーダーたちが法整備を求めている。米国では連邦政府としての法規制の枠組み作りは途上にあり、州や市レベルでは法案が可決されている地域もある。カリフォルニア州、イリノイ州、テキサス州、コロラド州を含む複数の州では、AI技術が及ぼす被害から消費者を守ることに焦点を当てた法案が可決、もしくは導入された。ニューヨーク市で施行した法律や、主要ITベンダーが立ち上げた取り組みなどを含めて、AI利用の規制に関する状況をまとめる。
ニューヨーク市は、AI技術の規制に関する法律「Local Law 144」を2023年7月5日(現地時間、以下同じ)に施行した。この法律は、「自動雇用決定ツール」(AEDT)を使う企業に対して、ツールを使用する前1年以内に性別や人種に関する監査を独立した機関から受け、監査の結果を公表することを義務付けている。 AEDTは、従業員の昇進や雇用を決定する過程にAI技術を取り入れるツールだ。
GoogleやMicrosoft、OpenAI、AnthropicといったAI関連の企業は2023年7月26日、業界団体「Frontier Model Forum」(FMF)を立ち上げたと発表した。 FMFの活動は以下を目的にする。
Amazon.com、Meta Platforms、Google、Microsoft、OpenAI、Anthropic、Inflection AIの7社は2023年7月21日、米国のジョー・バイデン大統領と会談。“責任あるAI技術の開発”に向けた自主的な約束を7社が表明した。具体的なアクションは、開発したツールをリリースする前に第三者機関の試験を受けることや、AI技術が生成したコンテンツであることをユーザーが認識するための仕組みを開発することなどだ。
2023年6月14日、欧州連合(EU)の欧州議会においてAI技術を包括的に規制する「Artificial Intelligence Act」(AI Act)が採択された。EU理事会ではEU諸国との間で調整が始まり、早ければ2023年中には合意に達する見通しだ。
米連邦議会がAI Actと同程度の規制法を可決する可能性は低い。2023年6月21日、米連邦議会上院のチャック・シューマー院内総務は戦略国際問題研究所(CSIS:Center for Strategic and International Studies)でスピーチを実施。包括的にAI技術を規制する法整備に関する計画「SAFE Innovation Framework」(安全なイノベーションの枠組み)を発表し、法案策定には数カ月かかる可能性があると説明した。同氏は、規制法が労働者の保護、国家安全保障、著作権や知的財産権、終末シナリオの抑止に重点を置くべきものだと強調した。
2023年10月30日には、バイデン大統領がAI技術に関する大統領令を発令した。この大統領令は、国民のプライバシーの保護、AI技術を教育現場で活用する教育者の支援、公平性と市民権の推進、労働者の保護など8つの項目で構成されている。
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