Google Cloudの「割引サービス」はどういう場合に使うべき?確約利用割引(CUD)をマスターしよう【後編】

Google Cloudで利用できる「確約利用割引」(CUD)などの割引サービスは、どのような場合に使うと有効なのか。活用例を紹介するとともに、企業が割引サービスで得られるコスト以外のメリットも説明する。

2023年11月20日 05時00分 公開
[Will KellyTechTarget]

 Googleは、同社のクラウドサービス群「Google Cloud」において、年間契約を結ぶユーザー向けに、サービスの割引制度「確約利用割引」(Commited Use Discount、以下CUD)を提供している。CUDが有効なユースケースと、それ以外の割引サービス、CUDによって企業が得られるコスト以外のメリットなどを紹介する。

割引サービスでお得になる2つのユースケースとは

 CUDが有効なユースケースは次の通りだ。

  • 使用リソースが一定のアプリケーション
    • リソースの使用量が安定しているサービスはCUDを適用しやすい。例えば、データベースを搭載した社内報告用のアプリケーションが該当する。このようなアプリケーションは、計算能力とストレージの需要が安定していて、ユーザー数がコントロール可能であるため、CUDの良い適用例だ。
  • 使用量が予測可能なサービス
    • 使用するリソースや料金が予測可能なサービスにはCUDを適用できる可能性がある。例えば、仮想マシン(VM)が停止してもデータが削除されないクラウドストレージサービスの「永続ディスク」は、一般的にユーザーがバックアップを取るタイミングが決定しているため使用するリソース量の予測が外れにくい。
    • 予測可能なサービスを探すには、クラウド管理ツールで処理の傾向を確認するとよい。3カ月、半年、1年といった単位で過去のクラウドサービス使用実績データを分析することで、CUDの適用可能性を評価できる。

 CUDを積極的に活用することで、企業が得られる金銭以外のメリットを紹介する。

  • 需要の増減を予測しやすくなる
    • CUDを利用しようとする際は、クラウドサービスをどのように使っていくか計画を立て、ロードマップに落とし込む必要がある。この過程が、需要の変化を予測する精度の改善につながる。DevOps(開発と運用の融合)と自動化の手法を開発プロセスに導入することでさらに精度は改善するだろう。
  • 開発者が安心できる
    • CUDを利用し、必要なリソースを事前に確保できることは、開発者にとっては安心感につながる。

 CUD以外にもGoogleは割引サービスを用意している。CUDと同時に使える割引サービスには例えば以下がある。

  • 継続利用割引
    • リソースを1カ月のうち25%以上の時間利用することで使える。
  • プリエンプティブルVMインタンス
    • Google Cloudの余剰リソースを利用する。他のアプリケーションにリソースが必要になると、Googleによっていつでもシャットダウンされるという制約がある。

 クラウドサービスの利用計画やシステム設計の段階でコストを最適化するためには、技術部門と事業部門の関係者が協力する必要がある。混在する割引の仕組みを管理するには、企業内のクラウドサービスユーザーが「FinOps」のチームと密接に協力する必要がある。FinOpsとは、クラウドサービスにおける支出を正確に管理して、コストを削減するための運用モデルだ。

TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス

米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

隴�スー騾ケツ€郢晏ク厥。郢ァ�、郢晏現�ス郢晢スシ郢昜サ」�ス

技術文書・技術解説 ドキュサイン・ジャパン株式会社

導入が進む一方で不安も、電子署名は「契約の証拠」になる?

契約業務の効率化やコストの削減といった効果が期待できることから、多くの企業で「電子署名」の導入が進んでいる。一方で、訴訟問題へと発展した際に証拠として使えるのかといった疑問を抱き、導入を踏みとどまるケースもあるようだ。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

VMware「永久ライセンス」を継続する“非公認”の方法

半導体ベンダーBroadcomは仮想化ベンダーVMwareを買収してから、VMware製品の永久ライセンスを廃止した。その永久ライセンスを継続する非公認の方法とは。

市場調査・トレンド 株式会社QTnet

業種別の利用状況から考察、日本企業に適したクラウドサービスの要件とは?

システム基盤をオンプレミスで運用するか、データセンターやクラウドで運用するかは、業種によって大きく異なる。調査結果を基に、活用の実態を探るとともに、最適なクラウドサービスを考察する。

製品資料 発注ナビ株式会社

商談につながるリードをなぜ獲得できない? 調査で知るSaaSマーケの課題と対策

SaaSサービスが普及する一方、製品の多様化に伴い、さまざまな課題が発生している。特にベンダー側では、「商談につながるリードを獲得できない」という悩みを抱える企業が多いようだ。調査結果を基に、その実態と解決策を探る。

製品資料 株式会社ハイレゾ

GPUのスペック不足を解消、生成AIやLLMの開発を加速する注目の選択肢とは?

生成AIの活用が広がり、LLMやマルチモーダルAIの開発が進む中で、高性能なGPUの確保に問題を抱えている企業は少なくない。GPUのスペック不足を解消するためには、どうすればよいのか。有力な選択肢を紹介する。

郢晏生ホヲ郢敖€郢晢スシ郢ァ�ウ郢晢スウ郢晢ソスホヲ郢晢ソスPR

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

Google Cloudの「割引サービス」はどういう場合に使うべき?:確約利用割引(CUD)をマスターしよう【後編】 - TechTargetジャパン クラウド 隴�スー騾ケツ€髫ェ蛟�スコ�ス

TechTarget郢ァ�ク郢晢ス」郢昜サ」ホヲ 隴�スー騾ケツ€髫ェ蛟�スコ�ス

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。