SSD市場が“復活”してもMicronの「あのSSD」は値上げなし?Micron「メインストリームSSD」の真価【後編】

SSD市場が低迷し、ベンダー各社の業績を直撃する中でも、ベンダーは新製品開発の手を緩めていない。Micronが新たに提供するSSDを踏まえて、今後の市況を考えてみよう。

2023年11月30日 10時00分 公開
[Adam ArmstrongTechTarget]

 2022年から2023年にかけてSSD市場の低迷が顕著になり、ストレージベンダーやメモリベンダーの業績は軒並み悪化した。ただしその中でもベンダー各社は製品開発の手を緩めず、新製品を披露している。Micron Technologyの新SSDは、価格を含めて今後のSSD市場を見通す上での“試金石”になりそうだ。

SSD市場はどうなる? Micronの“あのSSD”は値上げなし?

 Micronは2023年10月、SSDの新製品「Micron 7500 NVMe SSD」(以下、Micron 7500)を発表した。これは最高レベルの高速性を求めてはいない読み込み集約型のメインストリームSSD、という位置付けになる。興味深いのは、メインストリームSSDに232層の技術をもたらした点だ。

 市場調査会社IDCのリサーチ担当バイスプレジデントであるジェフ・ヤヌコビッチ氏は「積層数を増やすことはコストパフォーマンスを高めることにつながる」と指摘する。Micron 7500シリーズの価格は、Micronによれば176層NAND型フラッシュメモリ搭載のSSD「Micron 7450 NVMe SSD」と同等になる。ただしNAND型フラッシュメモリ市場の相場は全体的に流動的であり、確かなことは言えないだろう。

 ヤヌコビッチ氏はNAND型フラッシュメモリの価格設定について「通常には見られない独特な状況にある」と話す。背景にあるのは、NAND型フラッシュメモリおよびSSD市場の低調さだ。その不況はベンダー各社を直撃しており、Micronの2023年8月31日に終了した2023年度の業績は、売上高が155億4000万ドルとなり、前年比約49.5%減という大幅減収だった。

 調査会社Gartnerでリサーチ担当バイスプレジデントを務めるジョセフ・アンスワース氏によれば、NAND型フラッシュメモリの市場は徐々に好転しており、価格が戻り始めるとの見方が強い。その流れの中では、Micronは製品価格を引き上げて利益を確保することが可能になる。ただし、232層NAND型フラッシュメモリはそもそも他ベンダーの製品よりも価格競争力があると考えられるため、「他のベンダーと同じだけ価格を上げなくても利益を確保できる可能性がある」とアンスワース氏は分析する。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news061.png

高齢男性はレジ待ちが苦手、女性は待たないためにアプリを活用――アイリッジ調査
実店舗を持つ企業が「アプリでどのようなユーザー体験を提供すべきか」を考えるヒントが...

news193.jpg

IASがブランドセーフティーの計測を拡張 誤報に関するレポートを追加
IASは、ブランドセーフティーと適合性の計測ソリューションを拡張し、誤報とともに広告が...

news047.png

【Googleが公式見解を発表】中古ドメインを絶対に使ってはいけない理由とは?
Googleが中古ドメインの不正利用を禁止を公式に発表しました。その理由や今後の対応につ...