SSD市場が低迷し、ベンダー各社の業績を直撃する中でも、ベンダーは新製品開発の手を緩めていない。Micronが新たに提供するSSDを踏まえて、今後の市況を考えてみよう。
2022年から2023年にかけてSSD市場の低迷が顕著になり、ストレージベンダーやメモリベンダーの業績は軒並み悪化した。ただしその中でもベンダー各社は製品開発の手を緩めず、新製品を披露している。Micron Technologyの新SSDは、価格を含めて今後のSSD市場を見通す上での“試金石”になりそうだ。
Micronは2023年10月、SSDの新製品「Micron 7500 NVMe SSD」(以下、Micron 7500)を発表した。これは最高レベルの高速性を求めてはいない読み込み集約型のメインストリームSSD、という位置付けになる。興味深いのは、メインストリームSSDに232層の技術をもたらした点だ。
市場調査会社IDCのリサーチ担当バイスプレジデントであるジェフ・ヤヌコビッチ氏は「積層数を増やすことはコストパフォーマンスを高めることにつながる」と指摘する。Micron 7500シリーズの価格は、Micronによれば176層NAND型フラッシュメモリ搭載のSSD「Micron 7450 NVMe SSD」と同等になる。ただしNAND型フラッシュメモリ市場の相場は全体的に流動的であり、確かなことは言えないだろう。
ヤヌコビッチ氏はNAND型フラッシュメモリの価格設定について「通常には見られない独特な状況にある」と話す。背景にあるのは、NAND型フラッシュメモリおよびSSD市場の低調さだ。その不況はベンダー各社を直撃しており、Micronの2023年8月31日に終了した2023年度の業績は、売上高が155億4000万ドルとなり、前年比約49.5%減という大幅減収だった。
調査会社Gartnerでリサーチ担当バイスプレジデントを務めるジョセフ・アンスワース氏によれば、NAND型フラッシュメモリの市場は徐々に好転しており、価格が戻り始めるとの見方が強い。その流れの中では、Micronは製品価格を引き上げて利益を確保することが可能になる。ただし、232層NAND型フラッシュメモリはそもそも他ベンダーの製品よりも価格競争力があると考えられるため、「他のベンダーと同じだけ価格を上げなくても利益を確保できる可能性がある」とアンスワース氏は分析する。
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