スマートフォンやタブレットのテザリング機能は便利だ。テレワークをしている従業員にとってはバックアップ回線として心強い存在だろう。ただし、テザリングにはリスクもある。
企業がテレワークを継続するのであれば、IT部門はテレワークで働く従業員の接続オプションとしてモバイルホットスポットの仕組みを理解しておくことが重要だ。これはデバイスを即席のアクセスポイントに仕立てる「テザリング」機能を利用してホットスポットにするものだ。スタンドアロンのホットスポットデバイスやGoogleのモバイルOS「Android」を搭載する主要なスマートフォン、Appleのスマートフォン「iPhone」などで利用できる。
無線LANではなくテザリングを使う方法にはメリットだけでなくリスクもある。詳しく見ていこう。
モバイルホットスポットを使えば、公共の無線LAN(Wi-Fi)にアクセスするリスクを避けながらどこからでも作業が可能になるため、外出先で作業する従業員にとって価値がある。1つのホットスポットに複数のデバイスを接続することも可能だ。
テレワークにおけるホットスポットのメリットは、ポケットサイズのバックアップ接続が従業員にもたらされることだ。例えば、悪天候に見舞われる地域でテレワーク勤務する従業員がいるとする。停電してインターネット接続が利用できなくなっても、従業員が自身のモバイルホットスポットに接続を切り替えれば、ビジネスチャットツール「Slack」やメールで停電の状況を伝えることができる。
一方でリスクもある。モバイルホットスポットはさまざまな理由から従業員の主要接続手段として利用すべきではない。モバイルホットスポットを従業員のバックアップ接続として利用可能にする場合でも、IT部門は主に次の4つの事項に注意して、管理しなければならない。
企業がモバイル端末の利用についての規則を定めたモバイルポリシーには、必ずしもモバイルホットスポットの利用が考慮されているとは限らない。そのため、モバイルホットスポットを利用する場合のコスト、私物端末の業務利用(BYOD)を可能にする場合の清算方法、データ容量の上限、セキュリティなどを考慮して自社のモバイルポリシーを策定する必要がある。IT部門は、モバイルデバイス管理(MDM)を利用して定めたポリシーを運用しなければならない。
会社の所有するデバイスであろうと、BYODであろうと、モバイルホットスポットで利用するデータ通信量の制限に注意する必要がある。ホットスポットはフルタイムのインターネット接続の代用にはならないことを利用者に明確に伝えておく。会社所有のデバイスの場合、自社が購入し、承認済みのユーザーに割り当てる限りある供給データの範囲内で利用することになる。
BYOD用の端末でホットスポット機能を利用する場合は、そのスマートフォンを所有する従業員のデータプランの範囲内でデータを消費することになる。寛大なIT部門ならば利用料金を清算してくれる可能性があるだろう。しかし、その従業員が無制限のデータプランを契約していても、データ通信量が制限されることがある。
自宅で働いていればスマートフォンを簡単に充電できる。だが、外出する従業員のスマートフォンの電力消費には注意が必要だ。バッテリーを簡単には充電できない状況では、ホットスポット機能の利用を控えるよう従業員に注意を促す。
デバイスのOSの更新、ファイアウォール機能の有効化、VPN(仮想プライベートネットワーク)の使用といったモバイルデバイスのセキュリティの基本は、パーソナルホットスポットの利用にも当てはまる。
後編はモバイルホットスポット機能を利用する際の注意点と、具体的な手順を解説する。
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