クラウドERP製品カタログ【第7回】東洋ビジネスエンジニアリング
中堅・中小製造業の海外進出を支援する「MCFrame online 原価管理」
製造業で広く使われる国産業務パッケージ「MCFrame」の原価管理機能を切り出してクラウドサービスとして提供するMCFrame online 原価管理。主なターゲット企業は海外進出を狙う中堅・中小企業だ。
製造業向けの国産業務パッケージ製品として、長い実績と高いシェアを持つ東洋ビジネスエンジニアリング(以下、B-EN-G)の「MCFrame」(エムシーフレーム)。同製品のラインアップは、Web対応版の「MCFrame XA」シリーズと、クライアント/サーバ型の「MCFrame CS」シリーズに分かれており、それぞれで生産管理、販売管理、原価管理の3つのモジュールをそろえる(参考記事:「カスタマイズありき」でグローバル製造業を支援する「MCFrame」)。
さらに2009年1月、これらに新たなソリューションが加わった。それが、MCFrame CSの原価管理モジュールの機能をクラウドサービスとして提供する「MCFrame online 原価管理」だ。B-EN-G プロダクト事業本部 営業本部 営業3部 部長 三島良太氏は、この新サービスの提供を始めた経緯について、次のように語る。
「2008年ごろからIT業界で“クラウドコンピューティング”というキーワードが大きく取り上げられるようになり、われわれも先進企業としてクラウドを使って何か新しい価値を顧客に提供できないかと考えていた。しかし、生産管理や販売管理の製品は、導入時にカスタマイズが多く発生するため、クラウドにすぐに載せるのは難しい。一方、原価管理に関しては、それまでの導入事例から中堅・中小規模の企業ではほぼノンカスタマイズで導入できることが分かっていた。そこで、そうした規模の企業を主なターゲットにして、原価管理の機能をクラウドサービスとして提供することにした」
MCFrame online 原価管理の大まかな仕組みは、サーバ上で稼働するMCFrame CS 原価管理の機能を、アプリケーション仮想化技術を使ってクライアントPCから利用するというものだ。ここで言う「アプリケーション仮想化技術」とは、「ターミナルサービス」と言い換えてもいい。つまり、サーバ上で稼働するアプリケーションの画面情報だけをクライアントPCに転送し、表示させる方式だ。B-EN-G プロダクト事業本部 技術部 部長 荒川尚也氏は、アプリケーション仮想化方式のメリットを説明する。
「クライアントPC側の設定も、アプリケーション仮想化のクライアントソフトウェアをダウンロードしてインストールするだけで済むし、アプリケーション稼働に必要な処理スペックもサーバ側で担保されているので、クライアントPCのスペックを気にする必要もない。また、ネットワーク帯域の消費も、一般的なWebアプリケーションと比べればむしろ少ない。事実、中国やベトナムなど海外の導入先でも、何の問題もなく使えているほどだ」
BI機能をデフォルトで搭載
MCFrame online 原価管理が備える機能は、オンプレミス版のMCFrame CSとほとんど同じだ。唯一の違いは、オンプレミス版では標準機能として備わっている「Microsoft Excel」シートへのデータエクスポート機能がオプション機能扱いになっている点。ただしその代わりに、MCFrame online 原価管理ではBI(ビジネスインテリジェンス)の機能がデフォルトで備わっている。その分、オンプレミス版より高機能になっていると荒川氏は述べる。
「原価管理の真の目的は、単に原価の数値を見るだけではなくて、それを分析してリポートにまとめ、経営判断に生かすことにある。MCFrame online 原価管理の提供に当たっては、そうしたニーズに応えられるよう充実したBI機能を搭載した。導入先企業の経営層には、この機能は非常に評判がいい」(荒川氏)
BIのエンジンとしては、BIソフトウェア「QlikView」のOEM版を採用。グラフィカルな分析リポートをダッシュボード画面上に表示できるようにしている。分析の対象領域も極めて広く、販売管理システムや会計システムから取り込んだ購買データや間接費用データを基に、費用を複数の配賦基準に基づいて配賦し、製品別や工程別、顧客別などさまざまな切り口で原価を可視化できる。さらには、これらを売り上げデータと合わせることで、原価率や営業利益の推移も一目で把握できるようにしている。
「原価管理の機能に関しては、外資系ベンダーの大規模パッケージ製品よりも優れると自負している。実際、MCFrame online 原価管理の機能だけで、社長に提出する経営リポートを作成しているユーザー企業もある」(三島氏)
実績データを入力するクラウドサービスも用意
他システムとの連携を柔軟に図れる点も、MCFrame online 原価管理の大きな特徴だという。
「原価管理システムは、購買システムや生産管理システム、会計システムで入力された実績データが最終的に集まる場所。従ってMCFrame online 原価管理は、他システムと柔軟にデータ連携ができるようになっている。もともとMCFrameは、『生産管理だけ』『原価管理だけ』といった具合にポイントソリューションとして導入されるケースが多かったため、CSVファイルを介した柔軟なデータ連携インタフェースを持っている」(荒川氏)
ただし、中堅・中小規模の製造企業の場合、そもそも実績データを入力するシステムがない場合も少なくない。また仮にあった場合でも、データ連携部分の実装に掛かるコストが、MCFrame online 原価管理の導入によるコストメリットを上回ってしまうことも考えられる。そこでB-EN-Gでは、そうしたユーザー向けに実績データ入力のためのオンラインサービスを安価に提供している。
「このサービスは、日本マイクロソフトのパブリッククラウド基盤であるWindows Azureの上で動作するWebアプリケーションとして実装しているので、安価なライセンス費用でユーザーに提供できる。また、単にデータ入力の入り口を提供するだけでなく、マスターデータの品目や部品表(BOM)との整合性を自動的にチェックする機能も提供している」(荒川氏)
導入支援サービスで原価管理の仕組み構築をサポート
MCFrame online 原価管理の月間利用料金は、2年契約時で1ユーザー当たり12万円、6カ月契約で16万円。それに加え、導入時に登録手数料として10万円、そして別途導入支援サービスの費用が掛かる。
この導入支援サービスの価格は250万円となっていて比較的高額に見える。三島氏は支援サービスを次のように説明する。
「規模が小さな企業は、これまで経営改善や具体的なビジネスアクションにつなげられるだけの原価管理をやってこなかったところがほとんど。そういった企業では、そもそも原価管理に必要なデータを収集していないか、もしくは収集していたとしてもその粒度が粗い。従ってまずは、きちんとした原価管理のためにはどういったデータが必要なのか、そしてそれらをどのように収集すればいいのかをアドバイスするコンサルティング活動から始めないといけない」
こうした企業におけるMCFrame online 原価管理の導入プロジェクトは、専任スタッフを充てることができれば通常は3カ月ほどで完了する。ただ実際には兼務スタッフが多く、半年ほどかかるケースが多いという。しかし、オンプレミス版のパッケージ製品を導入する場合の半年間とは、その作業内容はまったく異なると荒川氏は言う。
「MCFrame online 原価管理は、基本的に製品のカスタマイズは行わないため、アドオンやカスタマイズ開発の時間やコストを丸ごと節約できる。もちろん、ハードウェア資産を保有する必要がなく、ユーザー自身が運用作業を行う必要もないため、そうした点でもクラウドサービスならではのコストメリットを十分に享受できる」(荒川氏)
海外拠点での利用を前提としたソリューション
国内製造業ではここ数年、国内の拠点を海外にシフトする動きが加速しつつあるが、それに伴いMCFrameも海外拠点で導入される例が増えてきているという。荒川氏は、同製品は海外拠点での利用に適していると述べる。
「外資系の大規模な業務パッケージを海外拠点に展開するためには、高額な費用が掛かるし、使い方が複雑でうまく回せない例が多い。原価管理をするにしても、入力項目が多すぎて結局使いこなせず、ギブアップしてしまう。そこで、低コストで十分な機能を備えるMCFrameを海外拠点で採用する事例が増えている」
ERPの海外展開についての記事
また、海外拠点で業務システムを構築する際には、パッケージ製品の機能だけでなく、システムインテグレーション(SI)パートナーのスキルがスムーズな導入のネックになるケースも多いという。
「せっかく高機能なパッケージを購入しても、現地のSIパートナーのスキルが足りないために、導入に失敗してしまう例が非常に多い。その点、われわれはアジア各国に現地法人を構えており、日本からも海外導入の支援を行っているので、海外でも安心して導入していただける」(三島氏)
現在B-EN-Gでは、海外拠点での利用を前提とした各種ソリューションに力を入れており、2010年秋にはまさにこうしたニーズにターゲットを絞ったグローバルERP製品「A.S.I.A GP」をリリースした。本稿執筆時点(2012年1月)では、オンプレミス版のみの提供となっているが、2012年度中にはMCFrame online 原価管理と同じく、クラウドサービスでの提供を予定しているという。
「多くの企業では、海外拠点にはサーバを置きたくないと考えているが、クラウドサービスならこのニーズにうまく応えることができる。またクラウドサービスには、ある拠点で構築したシステムを、他の拠点に容易に横展開できるというメリットもある」(三島氏)
同社では、MC Frameの原価管理以外のモジュールをクラウドサービスとして提供することに関しても、「可能性がないわけではない」(三島氏)と将来に向けて含みを残している。
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