クラウドを利用する際に企業が直面する課題は少なくない。そうした課題を生み出す一因として、「高慢」で「変化に関心がない」クラウドベンダーの姿勢を指摘する声がある。
前編「私物iOS/Android端末やクラウドを安全にする『VPN』」では、私物端末の企業利用(BYOD)やクラウドの安全性を確保する具体策として、VPNをベースにしたシステムの活用事例を紹介した。後編は、セキュリティやサービス事業者の提供姿勢といった観点から、現状のクラウドサービスが抱える課題を示す。
Microsoft Exchange ServerやMicrosoft SharePoint Server、その他の複雑なビジネスパッケージの管理負荷を軽減したいと望んでいる中規模企業に、リモートITサポートサービスを提供する米Azaleos。同社で製品管理マーケティング担当副社長を務めるのが、スコット・ゴード氏だ。
Azaleosのサービスは、管理が必要なデータをやりとりする際、ユーザー企業のサーバにあるソフトウェアエージェントを利用する。これは、典型的なクラウドサービスとは正反対だ。ユーザー企業は、ハードウェアをホスティングする一方で、運用管理する人員をアウトソースすることになる。
こうしたアプローチは、ミッションクリティカルなリソースへのリモートアクセスを許可する際、企業が抱く懸念に関する洞察を与えるものだ。ゴード氏は、クラウドサービスの相対的な利益を重視する一方で、VPNあるいは他の技術でネットワークを拡張しようとする他の企業にとって、同社のアプローチが役に立つかもしれないという。
驚いたことにゴード氏は、セキュリティはクラウドに関する懸念の最重要事項ではないと話す。「セキュリティは、ちょっとした認識の問題だ」
クラウドプロバイダーは、自社の事業規模や経験、専門性に応じた、厳格なセキュリティのベストプラクティスを保有している。
ただし、どんなルールにもみられるように例外もある。医療や金融サービスといった厳しい規制を受ける企業にとって、正しいクラウドサービスプロバイダーを探すことは、四角い穴に丸い杭を打ち込むように難しい作業かもしれない。
「コストだけを重視するなら、安いクラウドソリューションを選べばよい」とゴード氏は言う。「だがセキュリティを考えた場合、パブリッククラウドサービスが提供できる要素や、契約に関する社内のIT規制などに関して、やはり慎重にならざるを得ない」
多くのクラウドサービスは、長年にわたる企業の伝統との深い統合という面では、IT部門が管理するシステムに後れを取っている。
多くのクラウドサービスに関する別の問題は、米Ford Motorの設立者ヘンリー・フォードが語った「顧客は好きな色を選択できる。それが黒でありさえすれば」という言葉のような、高慢なサービス提供の態度である。
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在宅勤務でSIM通信を利用していたが、クラウドの通信量急増により、帯域が圧迫されWeb会議での音切れが発生したり、コストがかさんだりと、ネットワーク環境の課題を抱えていたシナネンホールディングス。これらの問題を解消した方法とは?
VPN(仮想プライベートネットワーク)は、セキュリティの観点から見ると、もはや「安全なツール」とは言い切れない。VPNが抱えるリスクと、その代替として注目されるリモートアクセス技術について解説する。
インターネットVPNサービスの市場規模は増加傾向にあるが、パフォーマンスやセキュリティなどの課題が顕在化している。VPNの利用状況などのデータを基にこれらの課題を考察し、次世代インターネットVPNサービスの利点と可能性を探る。
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