OpenFlowを活用したSDNアプリケーションの募集をInternet2が開始。担当者は「ネットワークの混雑など、SDNアプリケーションで解決できるハイパフォーマンスWANの課題はまだ多い」と話している。
SDN(Software Defined Networking)コミュニティーでは、最近こんなジョークがささやかれている。「幅広いネットワーキングアプリケーションが実現するとなれば、いずれSDNアプリケーション専門のiTunesが間違いなくオープンするだろう。ネットワーク仮想化を99セントでダウンロードしよう!」
まだわれわれは、そこまでに至ってはいない。だが、SDNアプリケーションは、いま急速に浮上しつつあるのは事実だ。このマーケットの発展に向けて、Internet2は、Juniper Networks、Brocade、Cienaなどの米企業とともに、「2013 Internet2 Innovative Application Awards」と銘打って、OpenFlowを採用した革新的なオープンソースSDNアプリケーションに最高1万ドル(約95万円)の賞金を授与すると発表。5月から正式にエントリーの受付が始まり、応募申込書は7月7日(米国東部標準時)までに電子送信しなければならない。
Internet2は、研究・教育機関、政府組織の国際コンソーシアムで、OpenFlow SDNを用いて100ギガビットイーサネット(GbE) WANを構築し、Tバイト単位のゲノム解析データの転送など膨大なデータ転送を必要とする研究所と大学を相互接続している。
今回のInternet2によるこのコンテストは、ハイパフォーマンスネットワーク上のデータ転送を改善する、すぐにも幅広い分野で実用化できそうなアプリケーションを見いだすことが目的だ。Internet2のSDNはWANにフォーカスしているが、この賞はLAN向けに書かれたアプリケーションも排除しない。
「われわれは(応募されるアプリケーションが)WANベースでエンドツーエンドの視点を持つものになるだろうと予測している」と、Internet2のリサーチおよびサイエンスエンゲージメント担当シニアディレクター、ウェンディ・ハントーン氏は語る。「しかし、もし本当に優れたデータセンターアプリがあるのなら、それを除外するようなことはしない」
また、ネットワークの混雑など、SDNアプリケーションで解決できるハイパフォーマンスWANの課題は多い、と同氏はいう。
「われわれのWANは十分大きな帯域幅を持っており、混雑は主に地域ネットワークやキャンパスネットワークで発生する」とハントーン氏。「SDNが約束するものの1つは、(例えば)特定のファイル転送のために帯域幅をスケジュール化して、混雑回避を可能とすることだ。そうなれば、エンドユーザーはネットワーク利用に優先順位を付けることができるようになる。現時点では、そうしたことはできない。あくまでベストエフォートだ」
Internet2は、BrocadeやJuniper Networks、Ciena(各社とも同コンソーシアムのネットワークに機器を提供している)などのベンダーとも提携しているため、リサーチエンジニアだけでなく、民間企業の開発者たちからのエントリーも期待しているという。
Juniperの場合、今回のプログラムに参加するのは、幅広く網を投げかけ、自社技術の壁を打ち破るSDNイノベーションを発掘することが狙い。そう語るのは、同社のマーケティングおよびストラテジー担当上級副社長、マイク・マーセリン氏である。
SDNの究極の目的は、管理の一元化だが、マーセリン氏によると、そこに至る多様な問題を解決するためのアプリケーションが求められているという。同氏は、レイヤー4〜7(L4〜L7)のサービスがたくさん出てくることを期待している。
「SDNを促進するものとして求められるのは、収益を生む、あるいは収益を加速する機能を持つアプリケーションだ」と同氏。
Internet2では、応募者に「従来の枠にとらわれずに考える」ことを奨励するとともに、「とんでもないアイデアをためらわずに売り込んでほしい」としている。
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