IT部門に求められるビジネスへの関与
ユーザーの「使いにくいアプリケーションは嫌だ」をなくす、新しいIT職種とは
社内、社外問わずアプリケーションのユーザーエクスペリエンスが企業で重要になっている。それに伴い、新しいIT職種が求められるようになってきた。
アプリケーションを提供する相手が社員か、パートナーか、顧客か、またはその全てかにかかわらず、企業はユーザーエクスペリエンスにますます注力している。アクセスしにくい、あるいは複雑なアプリケーションは、生産性を損ない、ユーザーが他のアプリケーションに移ってしまうからだ。企業がそのアプリケーションの使用を認めておらず、サポートしていなくても、ユーザーは気にしない。
ユーザーエクスペリエンスの重要性が、アプリケーションパフォーマンス管理(APM)への新たな関心を呼び起こしている。APMは新しい考え方ではない。従来のIT管理者は、アプリケーションが成長していることをレポーティングするために、ツールを使って監視や管理をしていた。だが現在は、予防分析や予防修正に対応できる新しいIT職種が求められるようになっている。
例えば、従来のIT管理者は、アプリケーションに問題があっても、不満を感じたユーザーからヘルプデスクチケットが送信されるまで分からない。チケットが送信されているということは、ユーザーエクスペリエンスが損なわれ、既に何らかの支障が生じている。これに対し、「アプリケーションパフォーマンスエキスパート」や「ユーザーエクスペリエンスエキスパート」のような新しいIT職種は、アプリケーションパフォーマンスのパラメータをリアルタイムに監視する。パフォーマンス指標のしきい値を下回ったらアラートを受け取り、是正措置を講じることができる。ユーザーが気付く前にパフォーマンス問題を解決することが可能だ。
多くのアプリケーションパフォーマンスエキスパートは、アプリケーションの使用パターンを分析して把握できる。開発者はそのインサイトを、将来のアプリケーションの設計や構成の指針として活用し、使用パターンを踏まえた開発や、潜在的なボトルネックへの対処につなげることができる。アプリケーションパフォーマンスエキスパートは、IT管理者としての基本的なスキルセットを備えており、多くの場合、ソフトウェア開発やクラウドデプロイ、ヘルプデスクサービスなどの経験が求められている。
ユーザーエクスペリエンスの重要性を反映する新しいIT職種
企業におけるITの理解と活用の在り方は根本的に変わりつつある。従来のIT部門は、技術的な問題に対して、技術的な解決策で取り組んできた。より多くのデータを保存する必要が生じたら、ディスクを追加したり、新しいストレージアレイを導入したりといった具合だ。しかしこれでは5W1Hの「HOW(どのように)」を扱っているにすぎず、「WHY(なぜ、目的)」は扱っていない。従来のIT部門は、ビジネス的側面にほとんど関与してこなかった。しかしユーザーエクスペリエンスの重要性が高まっていることを受け、現在の新しいIT職種は、より深い問題にフォーカスしている。
IT部門がアウトソーシングやクラウドサービスとの競争激化に直面する。その中、企業は「社内のITリソースおよびスタッフは、コンサルティングやサービスでより大きな役割を果たすことができるし、できなければならない」と筆者は認識している。
IT部門は、ハードウェアを導入したり、アプリケーションをインストールするだけではいけないという考え方も現れている。すなわち、「IT部門は企業に、価値を測定できるサービスを提供しなければならない」という考え方だ。これは「サービスとしてのIT(ITaaS:IT as a Service)」と呼ばれることもある。その実現のためには、ビジネスと技術を橋渡しでき、企業の目標達成を支援できる「ITサービスエキスパート」のような職種が必要になる。この職種は、しっかりした技術的バックグラウンドを持ち、豊富なビジネスや営業、マーケティングの知識を備えたIT幹部にしか務まらない。
ITaaSは、ユーザーにとってSaaS(Software as a Service)と同様の機能を提供する社内サービスと考えられる。企業がクラウドベースのアプリケーションを使う場合、サービスによってデプロイされ、すぐに使えるようになっているアプリケーションを購入することになる。ITaaSを担う新しいIT職種の役割は、要求されるビジネスサービスを提供するために必要な全てのハードウェアとソフトウェアの構成、デプロイ、サポート、メンテナンスといったバックグラウンドタスクを社内で実行することにある。これらを適切に実行できれば、ITサービスエキスパートは、サービスのユーザーからITを抽象化することで、ビジネスの柔軟性と効率性を高めることができる。
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