変革するサーバ、ストレージ市場
LenovoとNetAppがストレージで提携、DellとHPEの牙城を崩す戦略とは
LenovoとNetAppがパートナーシップ契約を結んだ。競合のDellとHewlett Packard Enterpriseを追い上げることが狙いとみられる。両社は企業向けストレージ製品を強化するともに、中国で合弁会社を設立する。
LenovoとNetAppは2018年9月、複数年のパートナーシップ契約を締結した。競合であるDellやHewlett Packard Enterprise(HPE)を追い上げることが狙いとみられる。これにより両社はLenovoブランドのストレージシステムを共同開発し、中国では合弁会社を設立する。
このパートナーシップにおける最初の成果は、Lenovoブランドで販売するNetAppの製品だ。「ThinkSystem DMシリーズ・オールフラッシュアレイ」(以下、DMシリーズ)と「ThinkSystem DEシリーズ・ハイブリッドフラッシュアレイ」(以下、DEシリーズ)の2製品だ。DMシリーズは、NetAppのストレージ「FASシリーズ」およびオールフラッシュストレージ「All Flash FAS(AFF) Aシリーズ」の製品ラインをベースにしており、DEシリーズは、NetAppの「Eシリーズ」の製品群で構成している。Lenovoのデータセンターインフラ担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーのカムラン・アミニ氏は「Lenovoは、AFF Aシリーズの大半のハイエンドモデルをNetAppブランド製品として販売する」と語っている
LenovoはNetAppとのパートナーシップで、トップストレージベンダーの技術とサプライチェーンを獲得する。これによりLenovoはPCやサーバに加え、データセンター市場を幅広く開拓できる。
Lenovo、NetAppそれぞれのメリットは何か
アミニ氏は「NetAppとのパートナーシップにより、Lenovoは『エンドツーエンドのストレージ製品群』とハイブリッドクラウドのデータサービスをラインアップにそろえ、市場全体の90%以上のシェアを狙えるだろう」と説明している。
「もちろん、われわれの目標はDellとHPEに対抗し、異なる価値と選択肢を企業顧客に提供することだ」と、アミニ氏は続ける。DellとHPEはNetAppとストレージ市場で競合し、Lenovoとサーバ市場で競合している。
NetAppのクラウドインフラ担当シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーを務めるブラッド・アンダーソン氏は「NetAppはこのパートナーシップで、Lenovoの『大規模かつ迅速な販売チャネル』と中国市場における経験が得られる」と語る。アンダーソン氏は、NetAppは中小企業市場や急成長中の中国市場に十分に浸透していない、とみている。
「Lenovoが急成長しているサーバベンダーであり、確固たる3番手であることも、われわれの利点になる。われわれは競合するサーバベンダーに対して、より包括的な製品群を提供する」(アンダーソン氏)
調査会社IDCのインフラアナリスト、アシシュ・ナドカーニ氏は「LenovoとNetAppのパートナーシップを、サーバベンダーとストレージベンダーの過去の提携と比較してみた。例えば、DellがEMCのストレージシステム『EMC CLARiiON』を製造・販売する提携や、IBMがNetAppのNAS(Network Attached Storage)を『IBM System Storage Nシリーズ』として販売する提携の事例がある。DellとIBMは最終的にこれらの提携を終了したが、Dellは2016年の大規模買収に出たことで今ではEMCの全事業を傘下に収めている。
「今回の提携はかなり大掛かりなものだ。サーバとストレージ、両市場の大手OEM(相手先ブランドによる生産)ベンダー2社が組み、トップベンダーに挑戦している」と、ナドカーニ氏は語っている。
Moor Insights and Strategyのアナリスト、パトリック・ムーアヘッド氏は「LenovoとNetAppの提携は、両社にとって重要だ。多くの企業が専門特化型の製品ではなく、システムを求めるようになっている」と指摘する。
ムーアヘッド氏は「各社はビッグデータ関連の売り上げを伸ばしているが、それにはコンピュートとストレージの適切なコンビネーションが必要だ。そのためのシステムが求められている」としている。さらにムーアヘッド氏は「この提携により、NetAppは中国へのアクセスを強化し、Lenovoは欧米の大企業へのチャネルの強化とともに大規模な製造能力も確保できる」と述べている。
LenovoとNetAppの提携がもたらす新しいThinkSystemモデル
LenovoはNetAppのアレイを、単にブランドを変えて販売するだけではない。アミニ氏によれば、LenovoはNetAppのハードウェアサプライヤーとデータ管理ソフトウェア『ONTAP』と連携できるようになった。Lenovoは自社工場で製品の組み立て、テスト、検査し、ストレージ製品を完成できる。工場は米国、メキシコ、ブラジル、欧州、中国にあるという。
「Lenovoは全事業で生かせる巨大なサプライチェーンを持てる。将来的には変わってくる可能性はあるが、現時点では2社がサプライヤーを共有することでサプライチェーンが拡大する」(アミニ氏)
さらにアミニ氏によれば、Lenovoは管理ソフトウェア「Lenovo XClarity Administrator」(以下、XClarity)を拡張し、NetAppベースの製品に対応させる。XClarityは、サーバ、ネットワーク、ストレージのリソースを管理できるように設計されている。
「中身は同じでも、販売元がNetAppかLenovoかによって製品間に微妙な違いがあるが、どの製品も、コア要素であるONTAPと、『SnapMirror』のようなデータファブリック要素、そして2つのONTAPシステム間でデータ移行できるその他の要素がベースになっている。Lenovoブランド製品とNetApp製品の間でデータを意識することなく移行することが可能だ」と、アンダーソン氏は語る。
「DMシリーズの価格は、48TBの容量で2万5000ドルから、DEシリーズは4TBの容量で約7700ドルからそろえている。両製品群はLenovoが展開している160カ国で販売し、フルサポートを提供する」(アミニ氏)
これまでLenovoのストレージ製品群は限られていた。2014年にIBMのx86サーバ事業を買収し、LenovoはIBMのストレージ製品群「Storwizeシリーズ」のOEMメーカーおよびリセラーになった。LenovoはSeagate Technologyが買収したDot Hill Systemsの技術に基づくストレージアレイも販売していることに加え、ここ数年で他にも幾つか提携した。
アミニ氏によれば、Lenovoは「Vシリーズ」ブランドでStorwizeシリーズの販売、サポートを継続する。さらに「ThinkSystem DSシリーズ」でSeagate Technologyのストレージアレイ「Dot Hillシリーズ」の販売、サポートも継続する。
「LenovoとNetAppが中国に新設予定の合弁会社で製造、販売する製品は、現地のクラウドプラットフォームやセキュリティ特有の要件に応じてローカライズしたものになる」(アンダーソン氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
“攻撃者優位”なサイバーセキュリティ、全ての「穴」をふさぐ方法とは? -
製品資料
実際に悪用される脆弱性は4%前後 優先的に対処すべき脆弱性を把握するには? -
製品資料
HubSpotの機能を拡張する法人データ活用法 -
製品資料
面倒で非生産的な「名寄せ」作業 高精度&高効率に実施するには? -
製品資料
名刺管理には「その先」がある 成果のでない営業活動から脱却する秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
Netflixのバックエンドは「ほぼJava」 3000超のアプリを支える開発基盤の裏側
-
2
ISMSの“コンサル丸投げ”が招く数千万円の無駄 NTTドコモビジネスの脱出劇
-
3
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
4
「WSUS」終了の時限爆弾 “本命”移行先ツールとMicrosoft提唱の新管理手法
-
5
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
6
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
7
アラート47%削減 オープンハウスが捨てた「全部メール通知」の監視体制
-
8
IT製品の導入に関するアンケート「サーバ&ストレージ」編
-
9
Microsoft公式の実務試験が「ずっと無料」? 部下のスキルを0円で証明する方法
-
10
ベッドでの使用が「PC騒音」を悪化させる? Dellが推奨する冷却ファンの鎮め方
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
2
財務・会計はAI活用でどう変わる? 調査で見えた変革の道筋
-
3
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
4
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
「結局、一部の人しか使わない」 AI活用が業務に定着しない根本的な理由
-
7
コスト分析で見る「デバイス復旧」の代償 損失額から導きだされた投資戦略とは
-
8
Macの安全神話は崩壊? 最新の脅威動向から見えた攻撃のトレンドと有効な対策
-
9
ゼロトラストにおける「IDaaSの課題」と補完すべき重要機能とは?
-
10
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー