無線LAN市場の今【前編】
「IEEE 802.11ac」が無線LAN市場を席巻 新規格「IEEE 802.11ax」との違いは
企業が無線LANインフラのアップグレードを進める中で、無線LAN規格「IEEE 802.11ac」は企業向け無線LAN市場の成長に重要な役割を果たした。次世代規格「IEEE 802.11ax」はどうなるだろうか。
無線LAN規格「IEEE 802.11ac」(以下、802.11ac)は、2018年の無線LAN市場におけるスーパースターだった。こうした中、ネットワーク業界では、最新の無線LAN規格「IEEE 802.11ax」(以下、802.11ax)が急速に注目を集めている。
調査会社IDCは2019年5月に、世界の無線LAN市場に関する四半期報告書「Worldwide Quarterly Wireless LAN Tracker」を発表した。それによると、企業向け無線LANアクセスポイント(AP)の出荷台数のうち93%以上は、802.11ac準拠の製品が占めたという。法人市場では当面の間、802.11acが価値を保ち続ける見通しだ。
人々は無線LANに高速な通信や安定した性能を求めている。通信量が多いアプリケーションやミッションクリティカルなアプリケーションを扱うために、企業は無線LANインフラの入れ替えを進めている。Worldwide Quarterly Wireless LAN Trackerによれば、そうしたインフラのアップグレードと802.11ac準拠機器の出荷が、2018年の企業向け無線LAN市場の成長を後押しし、市場の売り上げは総額14億ドルに達したという。
「802.11acは現時点で独占的な無線LAN規格になっており、市場に完全に浸透したといえる」。IDCで企業向けネットワーク担当上級調査アナリストを務めるブランドン・バトラー氏はそう語る。
「IEEE 802.11ac」と次世代規格「IEEE 802.11ax」の違い
2018年は802.11acが脚光を浴びたが、新規格の802.11axも注目を集めている。802.11axはまだ正式に承認されていない。「いち早く採用するのは、スポーツスタジアムや会議場、公会堂、小売店、学校、政府機関といった大型施設になりそうだ」とバトラー氏は予想する。
大企業が802.11ac規格へのアップグレードを進める中で、標準的な入れ替えサイクルを考えると、802.11axが小規模組織で脚光を浴びるまでには、あと数年はかかるだろう。一方、数年単位で無線LANインフラ構築を計画する大企業にとって、今から802.11axを採用することは理にかなう。802.11axは独占的な規格として急速に台頭することが予想されるためだ。
「802.11axは通信を高速にするだけでなく、無線周波数を効率的に管理できるようにする。密度の高い無線LAN環境にとって特に理想的な新機能もある」とバトラー氏は言う。
802.11axには次の特徴がある。
- 安定した5GHz伝送と、携帯電話の通信品質の向上
- APが同時に複数のデバイスに接続できる「直交周波数分割多元接続」(OFDMA:Orthogonal Frequency-Division Multiple Access)方式
- APが間隔を指定してデバイスをスリープ状態にできる「TWT」(Target Wake Time)
- 複数のデバイスにデータを同時送信する「マルチユーザーMIMO」(MU-MIMO:Multi-user Multiple Input, Multiple Output)の向上
後編では、無線LAN市場の主な動きと今後の展望についてバトラー氏が語る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
無線LAN市場の今
「IEEE 802.11ac」準拠製品が大多数を占めた2018年の無線LAN市場は、新規格「IEEE 802.11ax」の台頭とともにどう変化するのか。無線LAN市場の現状と展望についてIDCのアナリストが語る。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[株式会社マクニカ] アイカ工業に学ぶ脆弱性対策 情シスが把握できずにいたアセットも正確に把握 -
製品資料
[株式会社マクニカ] 「脆弱性総まとめ」解説 被害事例から考える必須の対策ポイント -
製品資料
[Splunk Services Japan合同会社] サイバー脅威「トップ50」完全解説ガイド、新たな攻撃手法に対抗するには -
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」完全ガイドブック:メリットから資格取得のポイントまで -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] はじめての「自治体/官公庁入札」 必要な知識がすぐに学べる入門ガイド
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
2
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
3
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
4
「企業内サーバ環境の利用実態」に関するアンケート
-
5
AI基盤は本当に「オンプレ回帰」する? Broadcomの言い分と企業の本音
-
6
「技術屋」で終わらないために 情シスが今取るべき認定資格5選
-
7
「攻撃側にナイフ、防御側にパン」 OpenAIの10億ドル支援に潜む危うさ
-
8
「世界一給与にハングリー」な日本のエンジニアが“雇用の安定”を求める理由
-
9
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
10
「Linuxサーバの長期運用とRed Hat Enterprise Linux」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
2
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
3
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
4
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
7
PostgreSQLの「機能」「性能」「運用」「拡張性」に関する悩みの解消法
-
8
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
9
Macの安全神話は崩壊? 最新の脅威動向から見えた攻撃のトレンドと有効な対策
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー