HPEが地理的に分散し複数世代の技術が混在した環境を前提に、5Gインフラの構築を実現するソフトウェアを提供するイニシアチブを発表した。
Hewlett Packard Enterprise(HPE)が、Open Distributed Infrastructure Management(以下ODIM)イニシアチブを発表した。地理的に分散した大規模な5Gインフラの展開と管理を簡素化するためのオープンソースプログラムだ。
HPEは、5Gによってモバイルネットワークの構築方法が大きく変わると考えている。主に専用システムで構築されていた前世代のネットワークとは異なり、5Gは既成サーバで運用されるオープンソフトウェアプラットフォームで構成される。
地理的に分散する何千の拠点に、複数のサプライヤーがコンピューティング、ストレージ、ネットワークのインフラを提供している。業界のトレンドがvRAN(virtualized Radio Access Network:仮想無線アクセスネットワーク)、MEC(Multi-access Edge Computing)、クラウドネイティブなネットワーク機能などオープンな分散技術に向かう中、サプライヤーが共通で利用する業界標準が必要になるというのがHPEの見解だ。
データセンターの物理インフラ管理は、地理的なスケーリングやマルチサプライヤーによるデプロイのサポートに対応していない。それが運用の効率低下につながり、イノベーションの妨げになっているとも指摘する。
この新しいイニシアチブはIntelの協力で立ち上げられ、AMI、Apstra、Red Hat、Tech Mahindra、World Wide Technologyなどがサポートしている。このイニシアチブは、主に複数のサプライヤーから提供されたITインフラや異なる世代の技術が混在する何千もの拠点に5Gネットワークを展開する際に、通信事業者が直面する複雑さの解決を支援する。
また「Redfish」などの仕様に基づき、サプライヤーニュートラルなアプローチも実現する。このアプローチにより、コンピューティング、ストレージ、ネットワークの各インフラリソースの大規模な構成や運用の管理に複数のサプライヤーが対応できるようになる。
HPEはこのイニシアチブに沿ってエンタープライズサービス「HPE Open Distributed Infrastructure Management Resource Aggregator」(以下、HPE Resource Aggregator)を提供する予定だ。同社によると、HPE Resource Aggregatorはあらゆるサイトのインフラ要素をモデル化し、リソース、サプライヤー、地理的な場所にまたがるインフラの自動化を簡素化するという。
「5Gとエッジコンピューティング業界は、地理的に大きく分散するマルチベンダーインフラの展開を必要とする。これをコスト効率良く実現できるのは、Infrastructure as Code(IaC)による自動化だけだ」と話すのは、HPEで通信インフラソリューション部門のバイスプレジデントを務めるクラウス・ペダーソン氏だ。
「ODIMイニシアチブはネットワークのスケーラビリティの課題とベンダーロックインにまつわるコストに取り組む。そのため、マルチベンダーデプロイ、標準ベースの障害と構成の管理の一元管理型デプロイ、リソース固有のステータス情報の集約を可能にする」
Intelでネットワークプラットフォームグループのコーポレートバイスプレジデント兼統括マネジャーを務めるダン・ロドリゲス氏は次のように補足する。「インフラの管理とオーケストレーションは、APIやデータモデルなど共通のオープンソースビルディングブロックからメリットを得ることができる。このイニシアチブは、Redfishを土台に当社がHPEに協力して取り組んできた作業の上に成り立っている。最終的には、分散型導入での基盤となる技術の可能性を見いだし、それを全て引き出せるように通信サービスプロバイダーなどの企業を支援することになるだろう」
HPE Resource AggregatorはコアとエッジのIaaSなど、他のHPEの通信サービスを補完する。最近発表されたこのIaaSは、通信事業者が企業エッジでの収益と再定義されたエクスペリエンスへと迅速に到達できるように設計されている。
HPEは、2020年第2四半期にオープンソースインフラの管理を容易にする機能の商用サポート版と、関連するインフラ固有のプラグインコンポーネントをリリースする予定だ。Linux Foundationへのオープンソースリリースも第2四半期を目標としている。
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