“永遠の二番手”「AMD」がIntel、NVIDIAに勝つためのハードルM&Aに乗り出す半導体3社の思惑【第2回】

相次ぐM&Aで、企業向けのプロセッサ市場の競争は激化している。IntelとNVIDIAに対して、AMDはXilinxの買収で攻勢を掛ける。勝算はあるのか。

2021年01月14日 05時00分 公開
[Ed Scannell, Carol SliwaTechTarget]

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 AMD(Advanced Micro Devices)はXilinxの買収によって、x86プロセッサの市場におけるIntel、NVIDIAのライバルとして存在感を増すと一部のアナリストはみる。Xilinxの買収で、AMDはGPU(グラフィックス処理プロセッサ)やビデオカード(GPU搭載の拡張ボード)に処理性能を向上させる新たな技術を取り込める。

AMDが“半導体最大手”になるまでのハードル

 「『AMDは企業向けサーバ市場でもIntelと戦える』という自信を持つだろう」と、調査会社Nucleus Researchのアナリスト、ニコラス・グリゼル氏は言う。サーバ向けプロセッサ市場でIntelと競争しているNVIDIAにとっても、AMDのXilinx買収は重要な意味を持つ。ただしAMDがIntelやNVIDIAとのシェア争いに勝利するまでには、超えなければならないハードルが幾つかある。

 IT製品のバイヤーは総じて、Intel製のx86プロセッサを購入しているのが現状だ。デスクトップPC、ノートPC、データセンターサーバ市場で、AMDは“常に二番手”という存在だったが、近年はより大きな勢力になりつつある。ただし「新しいアーキテクチャが主流になるまでには、一般的に5年はかかる」と、調査会社Moor Insights & Strategyのプレジデント兼プリンシパルアナリスト、パトリック・ムーアヘッド氏は注意を促す。

 AMDはGPU分野でも前進しているが、CPU分野ほどではない。AMDは新しいGPUアーキテクチャ「AMD RDNA 2」(開発コードネーム「Big Navi」)に基づく新製品をリリースしたばかりだ。このGPUの投入が、例えば機械学習におけるトレーニング(学習)や推論の市場にどんなインパクトを与えるかは「まだ不明だ」とムーアヘッド氏は語る。ただしAMDによるXilinx買収やNVIDIAによるArm買収の結果、AI技術分野におけるプロセッサの選択肢は広がるだろうと、調査会社Gartnerのバイスプレジデントを務めるアラン・プリーストリー氏は指摘する。

 企業のIT部門が処理しなければならないデータ量が増加するほど、データを管理したり処理したりするための新しい技術が必要になる。「企業はGPUを必要としているし、将来は『FPGA』(Field Programmable Gate Array:特定の用途向けにプログラム可能な集積回路)もより広く利用するようになるだろう」(プリーストリー氏)

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