Microsoftは「Microsoft Azure」のサービス群を複数のインフラで実行できるようにするために、「Azure Stack」と「Azure Arc」を提供する。これらはそれぞれ何に役立つのか。
Microsoftはユーザー企業がオンプレミスインフラでクラウドサービス群「Microsoft Azure」の主要サービスをホストする手段として、「Azure Stack」を提供する。提供開始当時単一の製品だったAzure Stackは、今や3つの製品/サービスで構成されるポートフォリオに成長した。中編「『AWS Outposts』の機能と注意点とは? AWSのクラウドアプライアンス」に続く本稿は、Azure Stackを中心としたMicrosoftのハイブリッドクラウド製品/サービス群を説明する。
「Azure Stack Hub」は、クラウドサービスとオンプレミスインフラの両方またはオンプレミスインフラのみで、Azureサービスを使用してアプリケーションをホストするためのハイブリッドクラウド製品/サービス群だ。Azure Stack HubはAzureのサービスや機能をオンプレミスインフラで使用できるようにしている。
「Azure Stack HCI」は、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)用のOSだ。MicrosoftのサーバOS「Windows Server 2019」をベースにして、コンピューティングやストレージ、ネットワークなどのハードウェアの機能をソフトウェアで制御するソフトウェア定義アーキテクチャを実現する。Azure Stack HCIはDell EMCやLenovoといったベンダーが提供するハードウェアで稼働する。Azure Stack HCIにより、ユーザー企業はオンプレミスインフラでAzureサービスを利用できるようになる。
「Azure Stack Edge」はデータセンター以外の場所にコンピュータを必要とするユーザー企業向けのアプライアンスだ。Azure Stack Edgeの管理やインストール、アップデートはMicrosoftが実施する。Azure Stack Edgeはエッジ(データが生成される場所)で仮想マシンやコンテナ、機械学習モデルを運用できるようにする。コンピューティングやストレージなどのAzureサービスの使用や低遅延のデータ処理を可能にする。
Azureリソースの管理サービス「Azure Resource Manager」の仕組みをベースにする「Azure Arc」は、Azure Resource Managerの機能を他ベンダーのIaaS(Infrastructure as a Service)とオンプレミスインフラに拡張する。
ユーザー企業はAzure Arcを使用して、クラウドインフラまたはオンプレミスインフラでAzureサービスと管理コンソールを利用できる。Azure Arcはオンプレミスインフラで稼働する「Windows」と「Linux」のサーバ群の制御や、コンテナオーケストレーター「Kubernetes」を使ったクラウドサービスとオンプレミスインフラにおけるコンテナの構築と管理が可能だ。Azure Arcのプレビュー版は、接続先のデータベース管理システム(DBMS)として、
といったMicrosoftのDBMSサービスを選択できる。
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