ネットワークエンジニアが考察すべき問題を3回に分けて紹介する本連載。仮想LANの拡張について紹介した前編「いまさら聞けない『拡張VLAN』とは? なぜVLANを拡張するのか」に続き、本稿は「5G」(第5世代移動通信システム)と「MEC」(マルチアクセスエッジコンピューティング)について考える。
MECは普及の初期段階にある。特に動向として顕著なのは5Gに関わる通信事業者やインターネットサービスプロバイダー(ISP)の動きだ。ITコンサルティング会社CIMIのプレジデントであるトム・ノール氏は、MicrosoftのプライベートMECサービス「Azure Private MEC」が画期的な取り組みだと指摘する。
Microsoftは5Gシステムをホスティングするデータセンターと、「エッジコンピューティング」用のソフトウェアを提供する。ただし同社は5Gに高い関心を寄せているのではなく、エッジコンピューティングを重視している。
エッジコンピューティングとはデータの発生源の近くでデータ処理をする形態を指す。大容量の移動通信に適した5Gは、こうしたエッジコンピューティングの大きな推進力になる。MECとは簡単に言えば、エッジコンピューティングを移動通信に取り込むことだ。
MicrosoftがAzure Private MECでターゲットにするのは、通信事業者やホワイトボックス(仕様が公開されていること)のネットワーク機器を使うシステムインテグレーターなどだ。ただしノール氏は、Azure Private MECを活用できるのはそうした事業者だけではないと説明する。ユーザー企業もMicrosoftが用意するクラウドサービスや各地のデータセンターのリソースを使い、5Gとエッジコンピューティングを同時に導入できる。
ノール氏は5Gにはホワイトボックスのネットワーク機器が使われることが多くなると予測する。これは同時に、ホワイトボックスのネットワーク機器がエッジコンピューティング用のデータセンターで使われることが多くなる可能性のあることを意味する。これを具現化しようとしているのがMicrosoftだ。同社はネットワークベンダーのAffirmed NetworksとMetaswitch Networksを買収するなど、ネットワーク分野で活発に動いている。
MECと5Gを組み合わせるメリットを認識しているのはMicrosoftだけではない。今後は同社以外にも、MECと5Gに関する興味深い取り組みをする事業者が続々と登場する可能性がある。
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