「Microsoft Loop」はGoogleの“あれ”に類似? AI技術「Context IQ」とは?「Microsoft Loop」とは何か【後編】

専門家が「Microsoft Loop」に似ていると指摘するGoogleのツールとは何か。「Context IQ」とはどのような技術なのか。共同作業を支えるMicrosoftの製品・技術の“謎”に迫る。

2021年12月16日 05時00分 公開
[Maxim TamarovTechTarget]

 Microsoftの新しいコミュニケーションアプリケーション「Microsoft Loop」は、「Loopページ」「Loopコンポーネント」「Loopワークスペース」の3つの要素でコラボレーション(共同作業)を支援する(参照:前編「Microsoft Loopの理解に必要な『Loopページ』『Loopコンポーネント』『Loopワークスペース』とは?」)。オフィスワークとテレワークを組み合わせたハイブリッドワークへの移行が進み、働き方がより流動的でダイナミックなものになる中、ドキュメントやコンテンツなどをより頻繁に変更する必要が生じている。「Loopは、このことを反映した製品だ」と、調査会社Constellation Researchのアナリスト、ホルガー・ミュラー氏は説明する。

LoopはGoogleの“あれ”に似ている?

 「働き方が変わってきている」とミュラー氏は指摘する。ドキュメントやコンテンツなどを作ってやりとりし、さらにアップデートしていくのは、時間や手間が掛かる。Loopによってこれらを部品化し、部品レベルで共同作業ができるようにすることで「もっとスムーズで迅速な共同作業が可能になる」と同氏はみる。

 ミュラー氏は、LoopはGoogleの「Smart Canvas」に似ていると指摘する。Smart Canvasは、Googleのオフィススイート「Google Workspace」のアプリケーション群を連携させる機能群だ。GoogleはSmart Canvasによって、Google Workspaceを使った共同作業を進化させようとしている。

 Microsoftは2021年11月、オフィススイート「Microsoft 365」(Office 365)の各アプリケーションで利用可能なLoopコンポーネントを提供開始する。Loopが使えるアプリケーションの提供に関する詳細も発表するという。

Context IQによる予測と支援

 Microsoft Igniteでは「Context IQ」の発表もあった。Context IQは、Microsoft 365アプリケーション全体の連携を実現するAI(人工知能)技術であり、ユーザーが仕事の流れの中で必要とする情報を予測、探索、提案するために役立つ。

 Context IQは「Microsoftエディター」に最初に実装される。AI技術を利用した文章作成アシスタントであるMicrosoftエディターは、ワープロの「Microsoft Word」とメールクライアントの「Microsoft Outlook」に搭載されている。MicrosoftはWebブラウザ「Microsoft Edge」「Google Chrome」の拡張機能としてもContext IQを提供する。Context IQにはスペルミスと基本的な文法エラーを指摘する機能があり、Microsoft 365のサブスクリプション所有者ならば高度な文法とスタイルの改善に関する機能も利用できる。

 Microsoftエディターは、Context IQによってさまざまな予測支援を提供する。例えば関連するドキュメントを提案したり、コラボレーション相手の予定が空いている時間帯を見つけたり、メールにタグ付けする同僚を提案したり、Microsoft Dynamics 365 の営業案件に関連するLoopコンポーネントを提案したりできるようになる。

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