半導体の進化の象徴である「ムーアの法則」は、技術的な制限ではなく、他の理由で崩壊を迎えるとの見方がある。理由の一つに、クラウドベンダーが進める“ある取り組み”があるという。それは何なのか。
1965年、Intelの共同創業者ゴードン・ムーア氏は、半導体の集積密度が高まるにつれてITコストが下がることを示す論文を書いた。その「ムーアの法則」が今、転換点を迎えようとしている。
クラウドベンダーの間で、自社データセンターにおけるハードウェアの耐用年数を延長する動きがある。Microsoftは2022年度第4四半期(2022年4〜6月)の決算発表で、自社データセンターにおけるサーバとネットワーク機器の耐用年数を4年から6年に延長すると発表。Amazon Web Servicesを傘下に持つAmazon.comも2022年2月、サーバの耐用年数を6年に延長すると発表した。
Amazon.comのCFOを務めるブライアン・オルサブスキー氏によると、同社はソフトウェアの実行を効率化することで、6年というサーバ耐用年数を実現する。Meta Platforms(旧Facebook)の次期最高財務責任者(CFO)、スーザン・リー氏は、同社のソフトウェア開発者に、よりデータ処理効率の高いソースコードを書くように促している。
集積密度の物理的な限界が、半導体の進歩を止めることはなかった。しかし世界経済の悪化がムーアの法則の行く手を阻みつつある。世界の大手クラウドベンダーが、自社データセンターのサーバの耐用年数を延長しようとしていることは、CPUやメモリといったコンピューティングリソースの消費量が、無限に増加するわけではないことを示唆している。
従量課金のクラウドサービスは、ユーザー企業のIT投資を促進している。ただし景気が悪化すれば、好きなだけコンピューティングリソースを利用できるわけではなくなる。今はコンピューティングリソースの消費を抑えるときだ。リー氏が既に指摘している通り、これからはソフトウェアのデータ処理効率を高めることが、自社の利益を確保するために有効な手段となる可能性がある。
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