VPNは枯れた技術でありながら、テレワークが広がる中でリモートアクセスの手段として活躍した。代替技術が台頭しつつある中で、VPNが使われなくなるという話は本当なのか。
「VPN」(仮想プライベートネットワーク)が企業のネットワークから姿を消す――。こうした見方が流布した。テレワークが広がり、「ZTNA」(ゼロトラストネットワークアクセス)といった、VPNに変わる技術が登場する中、そうした見方が出るのは自然だった。実態はどうなのか。
VPNが終わりを迎えるという主張は、「働き方や接続するシステムが変わっているのだから、ネットワークの技術や製品も変わるはずだ」という考えを論拠にしている。ネットワークの業界関係者がVPNの代替になると説明するのは、以下の技術や仕組みだ。
これらが普及する中での本当の問題は、「VPNが使われなくなるかどうか」ではない。専門家は、自宅とオフィスの両方で勤務するハイブリッドワークをする場合に、どの技術や製品を、どう使うかが本当に重要なのだと指摘する。
VPNが本当に使われなくなったかどうか、という観点ではどうだろうか。調査は、VPNがまだ健在であることを示している。
2022年6月、セキュリティベンダーZscalerとセキュリティ系メディアCybersecurity Insidersが、ITおよびセキュリティの専門家351人を対象にVPNに関する調査を実施。「2022 VPN Risk Report」というレポートを公開した。
調査対象者の95%は「自社はまだVPNを使用している」と回答。一方で「VPNに代わる技術の導入を計画している」と回答した割合は65%に上った。この結果は、最終的には別の技術がVPNを代替する動きが進んでいると読み取ることも可能だ。だが状況は単純ではない。
米TechTargetの調査部門Enterprise Strategy Group(ESG)が2021年に発表した調査「2021 SASE Trends」によれば、リモートアクセスの手段として、ZTNAなどのVPN代替技術の導入は確かに進んでいる。だが、必ずしも代替技術がVPNに置き換わるわけではない。この調査から、ZTNAを採用する企業の間でも、引き続きVPNを使用し、用途に応じて使い分けることが珍しくはない状況が明らかになった。回答企業の約3分の1は、ZTNAの利用を拡大する計画はなく、VPNとZTNAの併用を続ける計画だと答えた。
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