企業のテレワーク移行を支えてきたVPN。リモートアクセスの代替技術が登場する中、企業が信頼を寄せてきた“成熟した技術”であるVPNはどうなるのか。
テレワークが広がった際、「VPN」(仮想プライベートネットワーク)が大活躍だったことは記憶に新しい。その後、企業はVPNを使い続けるべきかどうかを悩み始めた。企業が何十年にわたって使用してきたこの“枯れた技術”は、今後どうなるのか。
リモートアクセスする際のVPNの代替として、企業が関心を寄せているのは「ZTNA」(ゼロトラストネットワークアクセス)だ。ZTNAの利用は今後広がっていくと考えられる。それでも「企業はVPNを使い続ける」と、Enterprise Strategy Group(ESG)のシニアネットワークアナリストを務めるボブ・ラリベルテ氏は語る。ESGは米TechTargetの調査部門だ。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)によってテレワークが必要になったとき、企業は先を争うようにVPNを導入したり、拡張したりした。企業のネットワークチームにとって、VPNは使い慣れていて信頼できる技術だったのだ。
VPNは企業のシステムに深く根付いていることから、代替技術への移行には時間がかかる可能性がある。用途がある限り、VPNが急に廃れることはないとラリベルテ氏はみる。
テレワークによってVPNの問題が浮き彫りになり、代替手段を検討する重要性に企業が気付いたのも、また事実だ。具体的には、エンドユーザーの数が増えるほど通信の接続が悪くなる問題や、VPNがセキュリティの穴がなってしまう問題などが挙げられる。
「VPNに問題があることはずっと前から分かっていた。社外で仕事をするエンドユーザーが以前よりも多くなったことで、その問題が明らかになった」。ESGでシニアサイバーセキュリティアナリストを務めるジョン・グラディ氏はそう語る。そうした中でZTNAといった、VPNを代替する技術や製品が充実し、VPN以外の選択肢を検討することが現実的になってきた。
当面はVPNの利用は続くという見方が強いとしても、何らかの要因に後押しされて代替技術への移行が急速に進む可能性はあるとグラディ氏は指摘する。例えばVPNでは接続できないシステムが必要になれば、それが新たなリモートアクセス技術への移行を加速させる可能性がある。
新型コロナウイルス感染症のパンデミック中には、VPNへの投資が目立った。その事実を前提にすると、「『VPNへの投資の減価償却が完了してから、新技術に移行する』という判断をする企業が出てくる」とラリベルテ氏はみる。
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