ネットワーク自動化を導入すると、自分の仕事が奪われるのではないか――。ネットワーク担当者が抱き得るこうした懸念は「正しくない」と、ネットワーク自動化を導入した医療機関CTOは断言する。その真意とは。
Ohio State University(オハイオ州立大学)に付属する医療センターのWexner Medical Center(以下、WMC)は、ITシステムの運用効率化のためにネットワークの見直しを進めている。2022年度の外来患者が200万人を超えるWMCは、ネットワークの改善に向けて、どのような方法を採用したのか。
WMCは過去にヒューマンエラーで大規模なネットワークインシデントを起こした経験がある。こうした経験と事業拡大が続く状況から、WMCはネットワークベンダーGluwareのネットワーク自動化ツール群の導入に踏み切った。
Gluwareのツール群には、セキュリティ対策やネットワーク運用に役立つさまざまな選択肢があることを、WMCは評価した。WMCで副最高情報責任者(Deputy CIO)および最高技術責任者(CTO)を務めるシジ・アテコヤ氏は「コスト削減、実行速度、安定性、セキュリティなど複数の面で、われわれのニーズに合っていた」とGluwareのツール群を評価する。
「ネットワーク自動化を採用すると、ネットワーク担当者がお払い箱になるのではないか」と懸念する人もいる。WMCには「そのような意図はない」とアテコヤ氏は断言する。WMCの狙いは、ネットワーク担当者が日常業務に取られる時間を最小限にすることだった。そうすればネットワーク担当者が、WMCの進めるデジタルトランスフォーメーション(DX)関連プロジェクトに時間を使いやすくなるからだ。
セキュリティとレジリエンス(障害発生時の回復力)は、ネットワークのオープン化を目指す団体ONUG(Open Networking User Group)で広く議論されている。これらは「WMCにとっても最優先事項だ」とアテコヤ氏は言う。
WMCは、包括的なセキュリティ施策を実践するため、ゼロトラストセキュリティの考え方を導入している。アテコヤ氏は、セキュリティ施策成功の条件として「発生する脅威の数が減ること」「ネットワークの稼働率が高まること」を挙げ、「結果としてWMCでの死亡率が低下することこそが成功だ」と話す。
第3回は「コネクテッドヘルス」について、アテコヤ氏の考えを紹介する。
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