クラウドサービスの利用料金が予想以上に高くなることが、「脱クラウド」の原因となることがある。こうした事態は、なぜ生じてしまうのか。
いったんクラウドサービスに移行させたアプリケーションをオンプレミスインフラに戻す「脱クラウド」(オンプレミス回帰)の理由として、コストの問題が挙げられる。クラウドサービスへの移行が、想定外のコスト増大を引き起こすことがあるからだ。
クラウドベンダーは宣伝や広報において、クラウドサービスのコストメリットを前面に押し出している。ストレージベンダーVAST Dataの共同創業者であるジェフ・デンワース氏は「『クラウドサービスへの移行で大規模なコスト節減が見込める』と言われると、ユーザー企業の経営層は過大な期待を寄せかねない」と言う。
ユーザー企業の経営層がアプリケーションのクラウド移行を決定した後は、その企業のIT部門が移行方法を検討する。その結果、全てのソースコードをリファクタリング(動作を変えずに内部構造を書き換えること)するという結論になる場合がある。
オンプレミスシステムをそのままクラウドサービスに移す「リフト&シフト」を選ぶにしても、クラウドサービスへのアプリケーション移行にはコストが掛かる。デンワース氏によるとリフト&シフトでは、仮想マシンやストレージ、ネットワークのコストが、オンプレミスインフラでアプリケーションを稼働させていたときの5倍以上になる場合がある。
第4回は、調査会社IDCの調査結果を基に、企業の脱クラウドの状況を説明する。
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