SSDが熱くなり過ぎる「オーバーヒート」を“甘く見てはいけない”のはなぜ?SSD「オーバーヒート」の原因と対策【第1回】

過剰な熱が発生する「オーバーヒート」は、SSDにどのような影響をもたらすのか。どの程度の温度になるとオーバーヒートだと判断できるのか。SSDのオーバーヒートに関する、こうした疑問を解消する。

2023年03月19日 10時30分 公開
[Rick WangTechTarget]

関連キーワード

SSD | 半導体ストレージ


 SSDは動作時に熱を発する。過剰に熱が発生する「オーバーヒート」の状態になると、SSDはデータ読み書き速度や耐久性といった性能を損なう。オーバーヒートの原因や対策はさまざまだ。放熱を促す冷却用パーツ「ヒートシンク」は、オーバーヒートを軽減するための一つの方法にすぎない。SSDのオーバーヒートとは何であり、どのような問題を引き起こすのか。

SSDのオーバーヒートとは? その“無視できない影響”はこれだ

 これまでSSDにとって、熱は必ずしも問題にはならなかった。ストレージインタフェースにHDDと同様の「SATA」(シリアルATA)を用いた、SSD登場初期から存在するシンプルなSATA接続型SSDでは、熱はあまり問題視されていなかった。

 ストレージインタフェースに「NVMe」(NVM Express)を採用したNVMe接続型SSDでは、オーバーヒートが問題になりやすい。NVMeはI/O(入出力)インタフェースに「PCI Express」(PCIe)を採用した、SSD向けのストレージインタフェースだ。NVMe接続型SSDは、SATA接続型SSDをはじめとする従来のSSDよりもデータ転送速度を高めている。こうした高速さは発熱量の増加につながる。

 そもそもオーバーヒートとは、どの程度の温度になることを指すのか。これを言い換えると、どの程度の温度になると、SSDに問題が生じるのか、ということになる。

 コンシューマー向けSSDが搭載する一般的なNAND型フラッシュメモリは、0度から70度程度の温度で動作することを想定している。そのためNAND型フラッシュメモリの温度が70℃を超えると、問題が発生する可能性がある。ヒートシンクがないNVMe接続型SSDの場合、数分から数十秒以内にNAND型フラッシュメモリの温度が70度を超えることがあるという。

 PCIeのバージョン5.0(PCIe 5.0)への移行といった技術進化に伴い、NVMe接続型SSDのデータ転送速度が高まると、オーバーヒートの問題はより深刻になる。SSDベンダーにとっては、発熱に対処しつつ、いかにSSDの性能を向上させ続けるかが課題となっている。


 次回は、SSDのオーバーヒートが発生する主な原因を探る。

TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス

米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news165.jpg

GoogleのBIツールからLINEにノーコードでデータ連携 primeNumberが「trocco action for Looker」を提供
primeNumberが「trocco action」の提供を開始。第一弾としてGoogleのBIツール「Looker」...

news145.jpg

女子スポーツが生み出す収益は2024年に10億ドル以上 広告主や大手広告代理店も本気に
WPP傘下の大手メディアエージェンシーGroupMは、AdidasやUnileverなどのクライアントの支...

news011.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2024年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。