5Gの技術進化はまだ続く 「SA」「ミリ波」「Open RAN」の今後の動向転換期を迎えた「5G」【後編】

5Gの導入が世界的に拡大している。市場では、特にどのような技術への関心が強まっているのか。今後の動向と併せて紹介する。

2023年06月27日 05時15分 公開
[Joe O’HalloranTechTarget]

 ネットワーク関連製品ベンダーViavi Solutionsは2023年4月、「5G」(第5世代移動通信システム)に関する年次報告書「The state of 5G」を公開した。報告書は、今後に向けて5G市場で注目される技術を幾つか紹介している。

「SA」「ミリ波」「Open RAN」など“今後の注目技術”の動向

 Viavi Solutionsの報告書では、「4G」(第4世代移動通信システム)の設備を使用せず5Gの設備だけで構成するSA(スタンドアロン)や、26GHz帯以上など高周波数帯の「ミリ波」への関心が世界で強まっている状況が明らかになった。

 報告書によると、2023年1月までに、23カ国45カ所にSA構成の5Gネットワークが設置された。2022年1月時点で、4Gのコアネットワークに5GのRAN(無線アクセスネットワーク)を接続する「ノンスタンドアロン」(NSA)が世界で24カ所しか設置されていなかった状況と比べると、対照的だと言える。

 ミリ波の周波数帯を利用可能にしている国は全大陸にまたがり、採用国の人口規模や経済規模、技術の進化レベルもさまざまだ。中国やインド、米国など、世界有数の移動通信市場だけでなく、セーシェルやグアムといった人口規模の小さい島もミリ波を採用している。

 「ミリ波帯のライセンス供与を実施する国が多様化する背景には、各国の規制当局と、周波数帯を確保したいと熱望する通信事業者による、明確なアピールが存在する」とViavi Solutionsは述べる。ミリ波帯にはメリットとデメリットのどちらもあるが、今後は紆余(うよ)曲折を経ながら導入が進んでいく可能性が強い、というのが同社の見方だ。

 Viavi Solutionsで最高技術責任者(CTO)を務めるサメ・ヤマニー氏は、「2022年は5Gの転換点となった」とコメントする。スタンドアロン構成の5Gネットワークがほぼ倍増したことで、5Gの機能が拡大し、通信事業者がネットワーク機能やビジネス機能をさらに開発することをヤマニー氏は期待する。

 ヤマニー氏の見込みによれば、2024年はネットワークの品質向上と、仕様がオープンなRANを意味する「Open RAN」の技術開発が重点分野になる。

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