モバイルデバイスの便利な機能「テザリング」には、使用時に注意が必要な点が幾つかある。具体的には何に注意すればよいのか。Android搭載のモバイルデバイスを例に、主な注意点を確認する。
「テザリング」は、スマートフォンやタブレットといったモバイルデバイスのモバイル回線を使って、他のクライアントデバイスでのインターネット接続を可能にする仕組みだ。テザリングは固定回線が使えない場合のインターネット接続手段として役立つ一方、通信速度への影響といった注意点がある。GoogleのモバイルOS「Android」を搭載したモバイルデバイスにおけるテザリングに絞って、具体的な注意点を整理しよう。
さまざまなベンダーが、自社開発のスマートフォンやタブレットのモバイルOSとして、Androidを採用している。これはAndroidの長所でもあり、短所でもある。
各ベンダーが自社製デバイスに搭載しているAndroidのバージョンは一様ではない。そのためAndroidデバイスによって、テザリングの操作やトラブルシューティング手法が異なる可能性がある。特に「BYOD」(Bring Your Own Device:私物デバイスの業務利用)を採用する企業では、さまざまなAndroidデバイスをサポートしなければならず、テザリングのサポートが困難になりがちだ。
Androidデバイスを無線LANアクセスポイント(AP)として利用可能にする「無線LANテザリング」では、AP化したAndroidデバイスに攻撃者が不正にアクセスしたり、無線LANテザリングを介して送受信された機密データを傍受したりする可能性がある。テレワーカーやハイブリッドワーカー(テレワークとオフィスワーク両方で勤務する労働者)に重大なセキュリティリスクをもたらす可能性はゼロではない。
テザリングでは、複数のクライアントデバイスがモバイル回線を使用することになる。当然ながら、モバイル回線の帯域幅には限りがある。複数のクライアントデバイスが一斉にテザリングを利用すると、通信速度が遅くなったり、接続が切断しやすくなったりする。キャリア(通信事業者)の基地局のカバレッジ(網羅率)が十分ではない場合も、帯域幅の問題につながる可能性がある。
テザリングを使用すると、Androidデバイスのバッテリーが急激に消耗する可能性がある。バッテリーの消耗は、Androidデバイスをテザリング以外の目的で利用するエンドユーザーにとって、頻繁な充電が必要になるなどの負担を強いることになる。
通常の固定回線を置き換える手段として、テザリングを利用することは難しい。停電などの障害時に、同僚に固定回線がダウンしたことを伝えるメールやメッセージを送信するなど、緊急時の手段としてテザリングを役立てるとよい。
次回はAndroidデバイスにおけるテザリングのトラブルシューティング手順を解説する。
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