マネージドWi-Fi「OMWi」はなぜ“使えない無線LAN”なのか?オペレーターマネージドWi-Fiの未来【前編】

企業やエンドユーザーにとって欠かせない存在となっているWi-Fi。通信事業者がマネージドサービスとしてWi-Fiを提供する場合には課題がある。業界団体が改善に乗り出した。

2023年09月22日 07時15分 公開
[Joe O’HalloranTechTarget]

関連キーワード

Wi-Fi | データ通信 | ネットワーク | 無線LAN


 無線LANの業界団体Wireless Broadband Alliance(WBA)は、無線LANの標準規格群「IEEE 802.11」について、データの収集から管理、設定を最適化するための新しい指針を提唱した。背景には、業界団体Wi-Fi AllianceがIEEE 802.11の仕様を基に認証するブランドである「Wi-Fi」について、企業やエンドユーザーの“ある要望”が強くなり続けていることがある。

マネージドWi-Fi「OMWi」が使えない理由 ユーザーが求めているものは?

会員登録(無料)が必要です

 WBAの分析によれば、企業やエンドユーザーは、ほとんど設定作業を必要とせずに動作する、信頼できるWi-FiのネットワークおよびWi-Fiの機器を期待している。

 そこで登場したのが、Wi-Fiのネットワークや機器を通信事業者(オペレーター)が管理する「オペレーターマネージドWi-Fi」(以下、OMWi)だ。WBAによれば、市場にはOMWiのサービスが複数存在している。ただしその動作や運用方法は統一されておらず、通信事業者ごとに以下の項目が異なる。

  • ネットワークの状態やネットワーク機器に関するデータ収集
  • 遠隔からネットワークやネットワーク機器を管理する仕組み
  • 「CPE」(宅内設置機器)と外部のデータ通信
  • 網目のようにネットワークの経路を組む「メッシュネットワーク」の形成方法
  • トラブルシューティング

 これらの仕組みが統一されていないため、OMWiは相互運用が不可能なサービスになってしまっている。その結果、通信事業者は企業やエンドユーザーの要望に応えるため、さまざまな技術や標準規格を使いこなすための人的リソースが膨れ上がっている。

 こうした状況を受けて、WBAは通信事業者向けの技術レポート「Operator Managed Wi-Fi:Reference Architecture and Requirements」を2023年5月に発表した。このレポートはOMWiにおける推奨事項を整理したドキュメントであるレファレンスアーキテクチャとなっている。


 中編は、WBAの作成したレファレンスアーキテクチャが現状の課題をいかに解決するかを解説する。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 パロアルトネットワークス株式会社

従来のSD-WANでは運用負荷が問題、アプリのパフォーマンスをどう高める?

分散環境におけるアプリケーションのパフォーマンスを高めることは多くの企業で課題となっているが、従来のSD-WANによるアプリケーションの識別/回線振り分けは、運用負荷の高さが課題だった。これを解決する、次世代のアプローチとは?

市場調査・トレンド 株式会社インターネットイニシアティブ

ネットワーク担当者への調査で知る、店舗・拠点におけるネットワーク起因の課題

多店舗/多拠点企業のネットワーク担当者216人を対象とした調査により、「SaaSへのアクセスなどネットワーク利用に不便なことや制限が多い」などの課題が浮き彫りになった。これらの課題を解消し、再構築を成功に導く方法を探る。

製品資料 株式会社インターネットイニシアティブ

電子決済のエラーで営業に支障、多店舗/多拠点企業ネットワークのあるある課題

複数の店舗や拠点を擁する企業にとって、電子決済の通信エラー、本部と拠点の間でのWeb会議品質の低下といったネットワーク課題は、事業運営に深刻な問題をもたらしかねない。よくある8つの問題と、その解決策を探る。

市場調査・トレンド ゼットスケーラー株式会社

ファイアウォールとVPN中心のセキュリティアプローチは危険? 4つの理由を解説

代表的なセキュリティツールとして活用されてきたファイアウォールとVPNだが、今では、サイバー攻撃の被害を拡大させる要因となってしまった。その4つの理由を解説するとともに、現状のセキュリティ課題を一掃する方法を解説する。

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

複雑化したネットワークシステム、クラウド並みのアジリティを確保するには?

顧客や従業員のエクスペリエンスを向上させるとともに、インベーションを促進するには「アジリティ」の強化が鍵となる。しかし昨今、組織のネットワークは複雑化が著しく、アジリティの確保すら難しい。そこで求められるのが「簡素化」だ。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...

news040.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。