企業はクラウドストレージを積極的に採用している一方で、予算超過や想定外の出費が発生していることが、調査レポートから明らかになった。企業はどのような出費に頭を抱えているのか。
クラウドストレージの採用が進んでいる。テレワークの拡大に加えて、近年はAI(人工知能)技術を活用するためのデータ保存先としてクラウドストレージの活躍を見込んで採用する企業もある。そうした中で企業が苦しんでいるのが、予期しない料金負担だ。クラウドストレージベンダーWasabi Technologiesが発表したレポート「2024 Global Cloud Storage Index」を基に、企業が直面しているクラウドストレージの料金問題を探っていこう。
Wasabi Technologiesは、調査会社Vanson Bourneに委託し、2023年11月から12月にかけてクラウドストレージの利用に関する調査を実施した。調査対象者は、従業員数100人以上の企業に勤め、クラウドストレージの導入に関与しているIT意思決定者1200人だ。その結果を2024 Global Cloud Storage Indexにまとめている。
レポートによると、回答者の過半数である53%が「2023年にかかったクラウドストレージ利用料金が予算を上回った」と答えた。主な原因は以下の通りだ。
クラウドストレージから外部のインフラにデータを移動する際に発生するのが「エグレス料金」だ。クラウドストレージを使い始めて間もない企業にとっては、こうした追加料金は盲点になりやすい。
クラウドストレージは拡大傾向にある。Wasabi Technologiesの調査では、回答者の93%が「2024年にクラウドストレージの容量を増やす」と答えた。この数字は、2023年の調査で「2023年にクラウドストレージの容量を増やす」と答えた人の割合(84%)よりも9ポイント高い。クラウドストレージを含め、クラウドサービスの導入に関する自社の戦略を「クラウドファースト」だと答えた回答者は40%に達する。
回答者の90%は、「2024年は2023年よりもクラウドストレージ予算が増える」との見通しを示す。2023年の調査で「2023年は2022年よりもクラウドストレージ予算が増える」と答えた割合は84%だった。2024年の予算が前年よりも増える理由としては、アプリケーション開発やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進、データセキュリティ要件への順応などが並ぶ。
クラウドストレージの利用料金のうち、API呼び出し料金やデータ管理費、エグレス料金などの「データ運用料金」が占める割合の平均は、回答者全体で47%となった。
クラウドストレージの利用拡大の大きな要因は、AI技術を活用したアプリケーションやサービスの導入だ。
調査の回答者の99%が、「2024年にAI技術を活用したアプリケーションやサービスの導入を計画している」または「既に導入済み」だと答えた。AI技術を活用したアプリケーションやサービスの導入状況を分野別に見ると、「導入済み」または「導入予定」と答えた回答者が最も多いのが、「生成AIサービス」の49%だった。生成AIは、文章や画像などをAI技術で自動生成する技術のことだ。他には「セキュリティとコンプライアンス」の45%、「製品設計プロセス改善」の39%がこれに続く。
このように回答者はAI技術に関心を抱く一方で、ほぼ全ての回答者に当たる97%が、「自社にはAI技術を活用する際のストレージについて懸念事項がある」と答えた。「AI技術を活用したアプリケーションやサービスの導入によって、データの保存場所に課題が生じる」と予測する回答者は49%に上る。データをエッジ(データ発生場所の側にあるデバイス)、コア(ネットワークの中核にあるデバイス)、クラウドストレージなど、さまざまな場所に保存する必要があるからだ。
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