VR(仮想現実)の機能が「Microsoft Teams」に組み込まれるなど、VRの利用拡大に向けた明るい兆しが見えつつある。これからVRはより広く使われるようになるのか。
2021年末に旧FacebookがMeta Platformsに社名を変更したことをきっかけに、仮想空間「メタバース」とそのベースとなるVR(仮想現実)技術が全世界の注目を集めた。しかし、VR技術は2024年現在で普及しているとは言い難い。ただしVR技術がMicrosoftの主要製品に組み込まれるなど、変化の兆しが見えている。これから起きる可能性がある変化とは。
Microsoftは2024年1月、コラボレーションツール「Microsoft Teams」から利用できるイマーシブ(没入型)ミーティングツール「Microsoft Mesh」の提供を開始した。
Microsoft Meshの顧客体験製品管理ゼネラルマネジャーを務めるヤンシー・スミス氏は、Microsoft Meshの画期的なポイントとして「特別なハードウェアを必要とせずにメタバースを利用できる点」を強調する。ユーザーはわざわざヘッドセットをしなくても、仮想3D(3次元)空間にアクセスし、キーボードとマウスを使ってアバターを操作できる。
VR技術の普及を妨げる要因の一つになっているのが、ハードウェアの制約だ。デバイスは高価な上、物理的に扱いにくい。視野が完全に乗っ取られるため、乗り物酔いの症状が出たり、自分の体勢が分からなくなったりする人もいる。ヘッドセットやコントローラーを装着して動かしている自身の姿を一方的に周りから見られるのは、人によっては恥ずかしいと感じる。それがオフィスであればなおさらだ。
スミス氏は「ヘッドセットを装着すれば、より素晴らしい体験ができる」とは言うが、「VR技術を普及させるためには、ハードウェアの制約をなくすことが不可欠だ」と指摘する。
調査会社Forrester Researchでアナリストを務めるJ.P.ガウンダー氏は「ヘッドセットがスマートグラスほどコンパクトになれば、VR技術の利用者層は広がるだろう」と話す。他にも、燃料価格の上昇に伴う交通費の高騰や、感染症のパンデミック(世界的大流行)の再来がVR普及のきっかけになる可能性もある。
忘れてはならないのが、特定の用途において、VR技術の活用は着実に進んでいるということだ。例えば、新人の受け入れ時のオンボーディングトレーニングや、危険な物質や装置の取り扱いに関する教育セッション、デジタルツイン(現実の物体や物理現象をデータで再現したもの)などで活用されている。
調査会社OnConvergenceのアナリストであるトム・ブラネン氏は、VR体験のメリットについて語る。分かりやすいのは仮想空間では複数台のモニターを準備する必要がなくなるという点だ。仮想空間であれば壁に画面を幾つも投影できる。ヘッドセットとタブレットを通じてアプリケーションを使えるため、出張時はノートPCを自宅に置いていけることもメリットと言える。
「メタバースに対する懐疑的な意見の大半は、メタバースをよく理解していない人によるものだ」と語るブラネン氏は、VR会合に参加して仮想空間を自由に歩き、世界中のメンバーとの交流を楽しんでいるという。
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