電力供給規格のPoEは、企業や家庭での採用が広がりつつある。実はPoE以外にもケーブルを用いた電力供給規格としてはPoDLがあり、特定の条件では有力な技術だ。両者は何が違うのか。
電力供給規格には「PoE」(Power over Ethernet)以外にも、「PoDL」(Power over Data Line)がある。この2つはどちらも、ケーブル経由でデバイスに電力を供給できる規格であるため、同じ技術だと誤解されることがある。だが両者は異なる技術だ。PoDLとPoEを比較しながら、それぞれの特徴を見ていこう。
PoDLとPoEの最大の違いは使用するケーブルが異なることだ。PoEはイーサネットケーブル(LANケーブル)を利用する。
PoEはCAT3(カテゴリー3)以上のLANケーブルを利用する。CAT3の内部は4ペア8本のケーブルであり、この場合は2ペアをデータ通信に、残りの2ペアを電力供給に使用する。
PoDLは単一ペアのケーブルでデータを転送するシングルペアイーサネット(SPE)を使用して、1ペアのケーブルで同時にデータ通信と電力供給を実現する。PoDLはツイストペアケーブル(電線を2本対でねじり合わせたケーブル)を利用することもある。
このような特徴から、PoEの方が電力供給に使えるケーブル数がPoDLより多いためにより多量の電力を供給できる。一方で、PoDLはケーブルの数を減らせるため、限られたスペースでの利用に適している。
PoEは企業や家庭で広く利用されている。対してPoDLは主に車載ネットワークに使われている。両規格に互換性はない。
以下の表は両規格の特徴をまとめたものだ。
■表1 PoEとPoDLの違い
項目 | PoE | PoDL |
---|---|---|
IEEE規格 | IEEE 802.3af、IEEE 802.3at-2009(PoE+)、IEEE 802.3bt(PoE++またはユニバーサルPoE) | IEEE 802.3bu |
使用ケーブル | イーサネットケーブル | イーサネットケーブル、ツイストペアケーブル、同軸ケーブル |
ケーブルの条件 | 2本のケーブルペア | 1本のケーブルペア(SPEと同じ) |
内部動作 | データと電力を別の配線で転送 | データと電力を同じ配線で転送するが、異なる方向に転送 |
必要な電気ケーブル本数 | PoDLより多い | PoEより少ない |
記事掲載当初、本文でPoEの名称を「Power over Data Line」と記載していましたが、正しくは「Power over
Ethernet」です。おわびして訂正します。本文は修正済みです。
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