「PoE」と「PoDL」の違いとは? LANケーブルで給電できる2つの方式UCに「PoE」を使うメリットとデメリット【後編】

電力供給規格のPoEは、企業や家庭での採用が広がりつつある。実はPoE以外にもケーブルを用いた電力供給規格としてはPoDLがあり、特定の条件では有力な技術だ。両者は何が違うのか。

2024年07月04日 05時00分 公開
[Venus KohliTechTarget]

 電力供給規格には「PoE」(Power over Ethernet)以外にも、「PoDL」(Power over Data Line)がある。この2つはどちらも、ケーブル経由でデバイスに電力を供給できる規格であるため、同じ技術だと誤解されることがある。だが両者は異なる技術だ。PoDLとPoEを比較しながら、それぞれの特徴を見ていこう。

「PoE」と「PoDL」の違いとは

 PoDLとPoEの最大の違いは使用するケーブルが異なることだ。PoEはイーサネットケーブル(LANケーブル)を利用する。

 PoEはCAT3(カテゴリー3)以上のLANケーブルを利用する。CAT3の内部は4ペア8本のケーブルであり、この場合は2ペアをデータ通信に、残りの2ペアを電力供給に使用する。

 PoDLは単一ペアのケーブルでデータを転送するシングルペアイーサネット(SPE)を使用して、1ペアのケーブルで同時にデータ通信と電力供給を実現する。PoDLはツイストペアケーブル(電線を2本対でねじり合わせたケーブル)を利用することもある。

 このような特徴から、PoEの方が電力供給に使えるケーブル数がPoDLより多いためにより多量の電力を供給できる。一方で、PoDLはケーブルの数を減らせるため、限られたスペースでの利用に適している。

 PoEは企業や家庭で広く利用されている。対してPoDLは主に車載ネットワークに使われている。両規格に互換性はない。

 以下の表は両規格の特徴をまとめたものだ。

■表1 PoEとPoDLの違い

項目 PoE PoDL
IEEE規格 IEEE 802.3af、IEEE 802.3at-2009(PoE+)、IEEE 802.3bt(PoE++またはユニバーサルPoE) IEEE 802.3bu
使用ケーブル イーサネットケーブル イーサネットケーブル、ツイストペアケーブル、同軸ケーブル
ケーブルの条件 2本のケーブルペア 1本のケーブルペア(SPEと同じ)
内部動作 データと電力を別の配線で転送 データと電力を同じ配線で転送するが、異なる方向に転送
必要な電気ケーブル本数 PoDLより多い PoEより少ない

変更履歴(2024年7月16日11時00分)

記事掲載当初、本文でPoEの名称を「Power over Data Line」と記載していましたが、正しくは「Power over

Ethernet」です。おわびして訂正します。本文は修正済みです。

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