ソフトウェア開発者のキャリアパスはどのように進むのか。キャリアの各段階ではどのような役割を担うのか。成功する開発者に共通するスキルや特性と併せて解説する。
ソフトウェア開発者としてのキャリアパスはどのように進み、キャリアの各段階ではどのようなスキルやマインドセットが求められるのか。ソフトウェア開発者としてキャリアアップを続ける“優秀なソフトウェア開発者”にはどのような共通点があるのか。ソフトウェア開発者としてのキャリアを歩むのであれば、以降で紹介する基本を参考にしてほしい。
技術研修ベンダーHeicoders Academyの共同創設者コン・ユイ・ニン氏は、「ソフトウェア開発分野でのキャリアは段階的に進むことが多い」と説明する。
大半の開発者は、まず「ジュニア開発者」としてキャリアをスタートする。コーディングの基礎を学び、小さなタスクに取り組みながら、さまざまな技術に触れて経験を積む。なるべく多くのことを学び、経験豊富な開発者から指導を受けることが重要だ。理路整然としたクリーンなソースコードを書いたり、バグを修正したりといった経験を通して、スキルを磨きながら徐々に複雑なタスクに取り組むことが求められる。
経験を積むと、次は「ミドル開発者」となる。より複雑なプロジェクトに参加し、開発プロセスについて深い理解を持ち、プロジェクトで一部の責任を任せてもらえる段階だ。ジュニア開発者を指導したり、アーキテクチャの決定に参加したりすることもある。
スキルと専門知識をさらに磨くと「シニア開発者」に昇進する。チームのリーダーとして、重要なアーキテクチャの決定や、アプリケーションのパフォーマンス最適化、コード品質の確保といった役割を担う。プロジェクトを通して複雑な問題に対処できるよう、ジュニア開発者や中級レベルの開発者を指導する。
シニア開発者の次の段階は「リード開発者」もしくは「テクニカルリード」だ。開発チームやプロジェクト全体を統括し、チームメンバー間の調整や、プロジェクトの進行確認を担う。強力なリーダーシップと、プロジェクトの技術面とビジネス面、両方に対する深い理解が求められる。チームメンバーの指導と育成においても重要な役割を果たす。
開発者とは、「問題を解決する人」だ。ローコード開発ツールベンダーOutSystemsでリージョナルディレクターを務めるレナード・タン氏は、成功する開発者の共通点として、「優れた思考力」「アジャイル(機敏)なマインドセット」の2つを挙げる。
コーディングでは、「線形思考」(論理的な思考法)と「非線形思考」(多角的な思考法)の両方が必要だ。プログラムの論理的な流れを理解したり、ソースコードを作成したりするには、線形思考が欠かせない。同時に、ソフトウェア開発では、単純な手順で解決できる問題だけでなく、いろいろな部分が絡み合った複雑な問題もある。このような場合、開発者は一つの方法にとらわれず、全体の状況を考えながら解決策を見つける必要がある。つまり、ソフトウェア開発の複雑な部分を上手に乗り切るために、非線形的な思考が役立つ。
開発者には学習スピードの速さが求められる。プロジェクトではしばしば、新しいツールやプロセス、プログラミング言語が導入される。エンジニアはこうした変化に素早く適応し、アプリケーションデリバリーを改善して、開発期間の短縮やコスト削減を成し遂げる必要がある。
新しい技術の登場や、開発プラットフォームの進化によって、開発者はキャリアの方向転換を迫られる可能性もある。「開発者にとって、迅速に学習し、変化に追従することが極めて重要だ」とタン氏はアドバイスする。
次回は、今後のソフトウェア開発市場で求められるスキルと、それに備える方法を解説する。
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