サービスメッシュに「OSS」を使うべきか「プロプライエタリ版」を使うべきかで企業は悩む。だがそうした企業の判断には、ある観点が抜けて落ちている。検討時にまず知っておくべきことは。
コンテナ分野でどの製品が勝利を収めるのか――。この問題は興味深い。2017年ごろ、コンテナオーケストレーター「Kubernetes」はコンテナ運用における選択肢の一つでしかなかった。ところが2022年の今では、企業はKubernetesをコンテナ戦略に欠かせない存在だと考えるようになった。同じことが、マイクロサービスアーキテクチャ(後述)用の通信を制御する「サービスメッシュ」でも起こると業界関係者はみている。
マイクロサービスは、機能ごとに分割した小規模のサービスだ。複数のマイクロサービスで構成するアプリケーションのアーキテクチャをマイクロサービスアーキテクチャと呼ぶ。各マイクロサービスに対して、サービスメッシュはトラフィック(データの流量や経路)の一元管理や負荷分散、アクセス制御などの機能を提供する。構成が単純なアプリケーションであればAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)による連携で十分だが、複雑なアプリケーションを作る場合はサービスメッシュを選択することが定番になりつつある。
サービスメッシュには「オープンソースソフトウェア」(OSS)と「プロプライエタリ版」(ベンダーが提供する商用ツール)がある。「Istio」や「Linkerd」などのOSSが話題の中心だ。ただしマイクロサービスは複雑な仕組みになるため、企業はベンダーからのサポートがないOSSを使用することに臆病になる。
企業はサービスメッシュを選択する際、「OSSが適しているのかどうか」を検討することが重要な問題だと考える。ただしそれよりも重要なのは、現実にはOSSとプロプライエタリ版の二者択一ではないということだ。OSSとプロプライエタリ版の定義は現実を正しく反映していないことがあり、それが落とし穴になる。
主流のサービスメッシュはOSSをベースにしつつ、サポートサービスや補助ツールを併せて提供している。OSSでもあり有償ツールでもあるということだ。「OSSは実用的ではないので有償ツールを選ぶべきだ」という主張は、この現実を根拠にしていると考えていい。
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