活用が広がりつつある「NFT」(Non Fungible Token:非代替性トークン)。一方で企業が無視できない課題として、NFTによる権利侵害がある。法律専門家は問題の核心をどう見るか。
前編「NFTとは? 400億ドル規模に急成長、知財重視の企業には懸念も」に続く後編となる本稿は、「NFT」(Non Fungible Token:非代替性トークン)をめぐる知財管理の問題を取り上げる。NFTは、デジタル資産の所有権を証明する手段として、ブロックチェーンに保存する特殊なデータだ。
法学教育機関California Western School of Lawの准教授エミリー・ベザディ氏は、NFTが新しい技術であるために、法整備が追い付いていない現状に懸念を示す。
NFTにひも付いたデジタルアートである「NFTアート」の制作者による権利侵害を争点とする訴訟では、どの行為が法に反するのかを判断しなければならない。NFTはオンライン資産の所在を示す点で、ハイパーリンクと同じような性質を持つ。ベザディ氏は「米国の裁判所はかつて『ハイパーリンクは著作権で保護される作品も、派生物も含まないため、著作権法に違反しない』という判決を下したことがある」と説明する。
その解釈を適用すれば、NFTアートは著作権を侵害していないことになる。原告企業は、権利を侵害する素材を被告がアップロードしたことを証明しなければならない。だが判例がなく、NFTに関する法律もない現状では「裁判官がこの解釈を採用せず『NFTそのものが法律違反だ』と判断する可能性がある」とベザディ氏は語る。
ベザディ氏は「NFTは商標権や著作権に関わる新しい問題を引き起こす。立法府が法人の財産と権利を保護する法律を立案すべきだ」と主張する。米国の現行法は、複雑な新技術であるNFTを適切に扱うことができず「新しい仕組みに合わなくなっている」と同氏は語る。
後編は、HermesとNikeが起こした訴訟の内容を紹介する。
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