HPは、ビデオ会議システムを手掛けるPolyを買収する。テレワークとオフィスワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」が注目を浴びる中、HPはPoly買収で何を目指すのか。
PCベンダーのHPは2022年3月28日(米国時間)、ビデオ会議システムベンダーのPolyを33億ドルで買収すると発表した。テレワークとオフィスワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」が進む中、テレワークをする従業員の自宅とオフィスをつなぐPolyのビデオ会議システム、カメラやヘッドセットなど周辺機器がHPの製品群に加わる。HPは、規制当局とPolyの株主の承認を待ち、2022年内に買収が完了すると見込んでいる。買収後に何を狙っているのか。
Polyは過去にもM&A(合併・買収)の経験がある。同社は2018年に音響機器メーカーのPlantronicsがビデオ会議システムベンダーのPolycomを20億ドルで買収したことで誕生した企業だ。PlantronicsとPolycomの経営統合後、2019年に社名をPolyに変更した。Polyの競合は、PC周辺機器ベンダーのLogitech Internationalやネットワーク機器ベンダーのCisco Systemsなどだ。
企業によるハイブリッドワークの関連支出は増えるとHPは予測する。「ハイブリッドワークの登場により、仕事の進め方を刷新する一世一代のチャンスが到来した」とHPのCEO、エンリケ・ロア氏は述べる。
HP以外にも、組織内のコミュニケーションや情報共有を促進する「コラボレーションツール」を提供するベンダーは、ハイブリッドワーク市場を狙い、Web会議やビデオ会議の周辺機器ベンダーと協働している。例えばCisco Systems、Microsoft、Zoom Video Communicationsは、オフィスで働く従業員と自宅で働く従業員のコミュニケーション不足をなくすことを目的にして、Web会議分野に注力している。
買収により、取引完了から3年後までに、Polyの売上高の年平均成長率(CAGA)は15%まで高まるとHPは予測する。HPの事業規模を生かしてPoly製品の製造コストや間接費を削減する他、HPのPCとPoly製品を組み合わせることで売上高を伸ばす狙いだ。
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