Avanadeが従業員に支給している年間2000ドルの「テレワーク手当」は、テレワークで利用するITや通信費だけでなく、ハウスクリーニングやジム会員権など幅広い用途を認めている。この制度が目指すものは。
Avanadeは米国ワシントン州シアトルにグローバル本社を置くITコンサルティングサービス企業だ。同社は米国でフルタイム勤務をする従業員4000人に、ホームオフィスの整備(IT機器やオフィス家具の調達、通信費や光熱費など)に使用できる年間2000ドルのテレワーク手当を福利厚生として提供している。新規採用者にはまず日割り500ドルを支給し、最初の昇進時に全額支給する。この制度自体はグローバルの従業員約5万6000人を対象としているが、給付内容や金額は地域によって異なるという。
Avanadeは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)前からこの制度を導入している。同社のテレワーク手当はホームオフィスやデバイス購入費を支援するだけでなく、ワークライフバランス改善を奨励する狙いもある。従業員は、ジムの会員権、ハウスクリーニング、旅行など、幅広い用途でこの制度を利用できる。同社の北米担当バイスプレジデント兼人事部長であるローラ・スーエル氏によると、この福利厚生は「使わないと損」であり、従業員はその支出を経費として計上できる。
「企業がテレワークの経費を負担する義務があるかどうか」という大きな疑問について、スーエル氏は「企業が個人にテレワークを要求する場合は、補助する義務がある」と考えている。ただし企業が従業員に「柔軟な選択肢」(同氏)を提供し、自由に利用できるオープンなオフィス空間を用意しているにもかかわらず、それを使いたくない従業員がいる場合もある。「自分でテレワークのニーズを満たすかどうかは、その従業員次第だ」と同氏は語る。
コロナ禍ではさまざまな企業がテレワーク手当を従業員に支給した。人事コンサルティング会社OperationsIncのプレジデント兼CEOであるデヴィッド・ルイス氏は「生産性とコミュニケーションを改善するために、企業はこぞって従業員の通信速度を向上させる支援策を提供した」と指摘する。
「大半の企業は、コロナ禍以降のアコモデーション(オフィスで無料の飲食物を提供する支援策)を『そもそもやらなくてよい』か『やる必要がなかった』と見なしている」とルイス氏は語る。しかし数年後、テレワークが定着すれば「企業は、ホームオフィス改善を目的とした単発の手当や、継続的なインターネット通信費を提供するようになる可能性がある」と同氏は語る。
ルイス氏は「いずれは電気代も企業が支給するようになる可能性がある」と予想する。例えばテレワークの時間帯に使用するエアコンの電気代を、企業が負担することが考えられるという。
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