ネットワークの性能の話題では「スループット」と「帯域幅」、さらには「レイテンシ」という用語が出てくる。ネットワークの専門家が重視するこの3つは、それぞれに影響を与える関係にある。どのような関係なのか。
ネットワークの性能に関する似たような用語として、「スループット」や「帯域幅」が使われている。その他に「レイテンシ」(遅延)という用語がある。これらの3つは、それぞれ異なる意味を持っている。だが関係のない用語なのではなく、お互いに影響し合う関係にある。
まずレイテンシとは、データがネットワークのあるポイントから別のポイントまで、つまり送信者から受信者まで移動するのにかかる時間の、測定値のことだ。場合によっては、ある要求を出してから応答が返ってくるまでの“待ち時間”や“往復時間”を、レイテンシと表現することもある。レイテンシを「ラグ」と呼ぶこともある。
ネットワークの専門家は、レイテンシと帯域幅の指標を使って性能を分析する。これらの2つの指標は、必ずしも互いに影響し合うものではないが、性能を見極めるには両方を使う必要がある。
レイテンシは、ネットワークの帯域幅が広くなるほど問題にされがちだ。例えば帯域幅が1Gbps(bps:bit per second)のネットワークにおいて、1Gbitの転送に2秒かかっているとする。この場合、ネットワークの専門家は「スループットが不十分なのはレイテンシに問題があるからだ」と判断する。
スループットも帯域幅と同様に、bpsというビットレート(1秒間に転送するデータ量)の単位を使用する。スループットの値が高くなるほど、ネットワークのポイント間を、より多くのデータが一定時間に移動していることを意味する。
レイテンシとスループットは、反比例の関係にある。レイテンシが小さくなるほどスループットは高くなり、データ転送を阻害する問題がより少なくなっていると言える。
反対に、スループットの値が低くなるほど、ネットワークのポイント間を移動するデータ量は少なくなる。この場合はレイテンシがより大きくなり、データの移動により長い時間がかかる可能性がある。
レイテンシと同様に、帯域幅とスループットはネットワークの専門家が性能監視に使用する重要な指標だ。ネットワークの専門家は、帯域幅でネットワークの仕様を理解する。スループットは、ネットワークの仕様に対して、どの程度の力を発揮しているのかを示す指標となる。一方でレイテンシもネットワークの性能を表す指標として重要なので、帯域幅とスループット、レイテンシの3つが必要になる。
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