非揮発性メモリ「Intel Optane」は、NAND型フラッシュメモリのような大成功を成し遂げることなく終わってしまう。何がうまく機能しなかったのか。
不揮発性メモリ「Intel Optane」(以下、Optane)の事業は、なぜ打ち切りになったのか。新しいメモリ技術の成功は、技術が優れていることやニーズとは関係のない要因に左右される。過去を見ると、NAND型フラッシュメモリがその点でうまくいった。
新しいメモリ技術は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)のように一定の生産数を確保できなければ、目標の生産コストに到達できない。NAND型フラッシュメモリが生き残ったのは、それができたからだ。結果的に、NAND型フラッシュメモリの価格は、DRAMの価格を下回ることになった。
NAND型フラッシュメモリの製造コストがDRAMの製造コストに並ぶようになったのは、2004年になってからだ。調査会社Objective Analysisの推計によると、2004年のNAND型フラッシュメモリのウエハー(半導体製品の基板材料)生産量は、DRAMの3分の1に達した。NAND型フラッシュメモリが、“規模の経済”による恩恵を受け始めたのはこの時期だ。
出だしは赤字であっても、生産量が増えるのに従って規模の経済が機能し、コストの負担は縮小する。Intelは、Optaneの販売が一定量に達するまで、損失を受け入れるという大きな賭けに出ていた。ところが規模の経済がうまく機能することはなく、損失が続いた。同社の経営陣は「限界が来た」と判断し、事業を打ち切った。
OptaneのSSDの販売価格がもっと安価だったとしたら、このSSDは人気を呼んだ可能性がある。だが安価にすれば、Intelの損失はさらに悪化していたはずだ。もし経営陣が、赤字になるラインを引き際として設定していたとしたら、Optaneはとっくに終幕していた。
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