SSDのI/Oを向上させる技術としてはNVMeが知られているが、ストレージの業界関係者はそれだけでは不十分だと指摘する。SSDの可能性を存分に引き出すことを狙う、新技術とは。
SSDは、HDDを前提にした設計にNAND型フラッシュメモリを無理やり押し込んだストレージだ。そのため、企業はI/O(入出力)などの性能においてSSDの可能性を十分に引き出せていない。この問題の解消を狙う動きがある。
SSDの利用においてHDDの制約を突破しようとする革新は、過去にもあった。SSD用のストレージインタフェース規格「NVMe」(NVM Express)の登場はその一つだ。これは性能を向上させることにつながった。
NVMeはSSD用に設計された規格とはいえ、依然としてHDDに縛られている。調査会社Objective Analysisで半導体およびSSDのアナリストを務めるジム・ハンディ氏は「NVMeでも、ソフトウェアはHDDと同じような仕方でNAND型フラッシュメモリにアドレス(記録位置)を割り当てている」と話す。
ハンディ氏によれば、こうしたHDDの手法を完全に取り除くことを狙ったストレージインタフェース技術が、キオクシアが開発した「Software-Enabled Flash」(SEF)だ。SEFは、「SDS」(ソフトウェア定義ストレージ)と同様に、ソフトウェアを使ってハードウェアをより効率的に利用できるようにする。とはいえ、SEFとSDSの類似点はそれだけだと言っていい。
SEFを使うことで、ソフトウェア開発者はSSDの容量をより効率的に使用できる可能性がある。「SDSはストレージアレイ全体で容量の使用率を向上させるのに対して、SEFは一つ一つのドライブレベルで効率化するところまで踏み込んでいる」。キオクシアの米国子会社KIOXIA Americaの技術担当バイスプレジデントであるスコット・ステッツァー氏はそう説明する。
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