ストレージ利用において、企業が抱える課題はコストからレイテンシまでさまざまだ。SSDの新技術「Software-Enabled Flash」(SEF)は、ストレージ利用にどのような影響を及ぼすのか。
SSDの利用に関係する新技術「Software-Enabled Flash」(SEF)とは、キオクシアが開発したストレージインタフェース技術だ。「SSDをHDDの仕様から解放し、SSDの在り方を根本から変える」という狙いを掲げる。それによって、具体的にストレージ利用の何が変わるのか。
SEFは、SSD利用におけるレイテンシ(遅延)の縮小や、容量の効率的な使用を狙っている。SEFについてストレージの業界関係者の間では、賛否両論で幾通りかの意見が出ている。
SSDコントローラーベンダーPhison ElectronicsのCTO(最高技術責任者)、セバスティアン・ジーン氏は、まだSEFの有用性に納得していない。「SSDに関するコストの大部分はNAND型フラッシュメモリだ」とジーン氏は語る。SEFによってストレージコントローラーやSSDのメモリから管理機能を取り除くことができる可能性はある。だがそれだけでは大幅なコスト削減にはならず、管理の負担をサーバ側に転嫁するだけになるという。「コストをサーバに乗せ換えるよりも、コスト抑制に貢献する別の方法があるはずだ」(同氏)
調査会社Objective Analysisで半導体およびSSDのアナリストを務めるジム・ハンディ氏は、SEFのメリットはコスト削減だとは考えていない。「通常、ホスト(ストレージを利用するシステム)とSSDは“同じ言語を話さない”が、SEFを使えば両者が同期的に動作できるようになる」
SEFは今後、課題に直面する可能性があるとハンディ氏は予測する。SEFを使うために専用のハードウェアが必要になるのだとしたら、それが普及の壁になるという課題だ。とはいえ同氏は、これは「乗り越えることのできる課題だ」と話す。「過去に同様の課題を抱えていたソフトウェアの中にも、広く使われるようになった例がある。SEFも普及に向けた過程を進んでいけるはずだ」(ハンディ氏)
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
メルカリがリテールメディア「メルカリAds」を本格開始 想定される広告ニーズは?
メルカリが新たな収益源を確立すべく広告事業への参入を発表した。
「ディープフェイク」が本当に危険な理由とは? AIが変えるソーシャルメディア5つのシナリオ【前編】
AIはソーシャルメディアマーケティングと広告の分野で効率と効果を大幅に向上させている...
ファーストパーティーCookieとサードパーティーCookieの違いって結局、何?
GoogleのサードパーティーCookie廃止の方針が二転三転し、デジタル広告業界は大きく混乱...