オランダの国際展示場RAIコンベンションセンターは「Wi-Fi 6」と「OpenRoaming」を利用して、堅牢(けんろう)で快適なネットワーク環境を構築している。OpenRoamingとは何か。
RAIアムステルダムコンベンションセンターが無線LANローミングの仕組みである「OpenRoaming」を導入した。OpenRoamingは、公衆Wi-Fiサービス関連事業者の業界団体である「Wireless Broadband Alliance」(WBA)およびその参加企業が開発したWi-Fi相互接続基盤のことだ。どのような仕組みで、何が可能になるのだろうか。
RAIアムステルダムコンベンションセンターは1893年に設立したオランダの国際展示場で、2022年は約119万人の来場者を迎え、売上高は約1億1800万ユーロだった。
同センターは2021年に、メインホールやレストラン、会議施設に、ネットワーク機器ベンダーCisco Systemsの無線LANアクセスポイントで構築した、無線LAN規格「Wi-Fi 6」のネットワークを導入した。Cisco SystemsはWBAのメンバーだ。OpenRoamingは、RAIアムステルダムコンベンションセンターが導入したWi-Fi 6ネットワークに導入された。
公衆Wi-Fiは接続するためにIDの登録やサインインが必要になるが一般的だ。OpenRoamingを利用する公衆Wi-Fiは、認証済みのIDであれば登録やサインイン不要で接続できる。
OpenRoamingを利用する公衆Wi-Fiであるということは、事業者がWBAの認証連携ネットワークに接続して提供しているWi-Fiということだ。ユーザーはOpenRoamingを利用するWi-Fiに接続すれば、サイバー攻撃者が設置した不審な公衆Wi-Fiに接続するリスクが減少する。ユーザーは1度認証すれば、OpenRoamingを利用する公衆Wi-Fiのエリアに入るたびに、利用中のスマートフォンやタブレット、ノートPCが自動的に接続する。
こうした信頼性や利便性を背景に、コンベンションセンターやスタジアム、アリーナなどがOpenRoamingを導入する事例が広がっている。
後編は、RAIコンベンションセンターがWi-Fi 6とOpenRoamingをイベントでどのように活用したのかを解説する。
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