「SSD」の突然の故障は、企業にとっての重大なリスクになる。それを回避するために役立つ自己診断機能が「S.M.A.R.T.」だ。特にどのような用途に使うべきなのか。
「SSD」はオフィスで使う重要なシステムから、工場内のアプリケーションまで、さまざまな用途に使われている。SSDに故障が発生すれば深刻な損失を発生させるリスクがある。それを回避するために役立つのが自己診断機能だ。特にどのような用途に役立つのか。
SSDやHDDは「S.M.A.R.T.」(Self-Monitoring, Analysis and Reporting Technology)という自己診断機能を備える。SSDのS.M.A.R.T.の利点は、エンドユーザーが機能の使い方や「S.M.A.R.T.属性」を理解していれば、SSDの摩耗状態を把握しやすい点にある。S.M.A.R.T.属性は、SSD内部の状態を表すさまざまな統計情報だ。
S.M.A.R.T.属性の値は、停止してはならない重要なアプリケーションにとって極めて重要になる。例えば工場の作業を自動化する「産業用ロボットアーム」を導入し、何十年と使い続ける企業がある。このような現場で、SSDの予測不能な故障があってはならない。IT管理者はS.M.A.R.T.属性に基づき、制御用ソフトウェアの設定をしたり、SSDの状態を毎月調査して交換が必要かどうかを判断したりすることが可能だ。不具合が出そうな場合は、事前に工場のオペレーターに報告できる。
そうした産業用の用途ではなくても、S.M.A.R.T.属性は役に立つ。例えばトランザクション処理(複数の処理を1つの単位で実行する一連の処理)ではさまざまな書き込みの負荷が発生し、SSDが摩耗しやすくなる。トランザクション処理でSSDにエラーが発生すると、即座に数百万ドル相当の損失を生み出してしまう場合もあるため、SSDを使用中に故障させてはならない。
大惨事を招く前にSSDを交換できるようにするには、システムにS.M.A.R.T.属性を把握させる仕組みを構築する必要がある。そうすることで、SSDが故障しそうな場合は担当者にアラートを発出し、対処可能になる。
SSDが故障する可能性があるというリスクは、IT管理者やエンドユーザーを不安にさせる。そうした不安の解消に使えるだけでも、S.M.A.R.T.属性は有用だ。使用中のSSDが「まだ故障しそうにない」という確信を持てることは、IT管理者やエンドユーザーにとっての安心感につながる。
第4回は、S.M.A.R.T.属性を把握するためにどのようなツールを使えばよいのかを紹介する。
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