SSDを“DRAMなし”にすると利点がある「用途のまとめ」構造からSSDを考える【第5回】

企業においても、個人利用においても、さまざまな用途にSSDが使われつつある。どのような用途であれば、DRAMを搭載しないSSDのメリットを享受できるのか。用途をまとめる。

2023年06月26日 05時00分 公開
[Jim HandyTechTarget]

 データ読み書きの高速さなどのパフォーマンスを求めるアプリケーションや、そうではないアプリケーションなど、さまざまな用途に「SSD」が使われつつある。そうした中で、SSDをより最適に利用できる可能性があるのが、DRAM(Dynamic Random Access Memory)のないSSDだ。どのような場合に、SSDをDRAMなしにする利点が見込めるのかを紹介する。

「SSD」を“DRAMレス”にすべき用途のまとめ

 SSDをDRAMなしの「DRAMレスSSD」にすることで、幾つかのメリットが見込める。まずDRAM分のコスト削減ができる。ホスト(コンピュータ)とSSDのNAND型フラッシュメモリがうまく同期して動作するようにカスタマイズをすれば、アプリケーションの処理速度を改善できる可能性もある。

 DRAMレスのSSDを採用する場合、どのような特性のアプリケーションであれば、メリットを享受しやすいのかを考える必要がある。DRAMレスSSDによるコスト削減効果を得やすいのは、データ読み書きのパフォーマンスをそれほど必要としないローエンドのアプリケーションだ。

 カスタマイズをすることでアプリケーションの処理性能向上を目指すべきなのは、データ読み書きにおける優れたパフォーマンスを必要とするハイエンドのアプリケーションだ。この場合、システム全体を制御するカスタマイズされたソフトウェアと組み合わせることで、DRAMレスSSDのメリットを最大限に引き出しやすくなる。

 ハイエンドのアプリケーションの例としては、科学技術分野のアプリケーションがある。パッケージ型の商用アプリケーションではなく、大規模な独自の開発を必要とするアプリケーションだ。そうしたアプリケーションは、DRAMレスSSDを使用することで処理速度を改善できるだけではなく、コスト削減も見込める。

 まとめると、DRAMレスSSDでメリットを見込める用途は、両極端な以下2つに分類できる。

  • ローエンドの用途
    • DRAM分のコスト削減の見返りとして、パフォーマンス低下を許容できるアプリケーション
  • ハイエンドの用途
    • システムのカスタマイズを通じたパフォーマンス向上が求められるアプリケーション
    • DRAMがない分のコスト削減効果を高めやすい大規模なシステムやデータセンター

 いずれの場合も、DRAMレスSSDの採用は必ずしもシステムを構成する際の最初の検討事項にはならなくてもよい。どのタイミングにおいても、適切に採用すれば、企業に新たなメリットをもたらす可能性がある。

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