英国の移動通信事業者が、AI(人工知能)技術と仮想現実(VR)技術を使ってデータセンターの消費電力削減に取り組むベンダーと、データセンターの改善を実施。その効果とは。
世界的な課題として浮上する、データセンターにおける消費電力量の問題。英国の移動通信事業者Hutchison 3G UK(Threeの名称で事業展開)は、築20年を超える自社のデータセンターの省エネルギー(省エネ)化を目的に、あるベンダーと取り組んでいる。その成果とは。
Threeの取り組みを支援するのが、英国でデータセンターのエネルギー管理サービスを提供するEkkoSenseだ。同社はAI(人工知能)技術と仮想現実(VR)技術を使い、データセンターの消費電力量を削減するためのサービスを提供している。
事業用不動産サービス会社CBREが、Threeのデータセンター刷新に関わっている。Threeでデータセンターの運用とサービスの準備担当のマネジャーを務めるシャミム・モハメド氏は、CBREとの協議についてこう語る。「CBREとの話し合いの中で、冷却システムの改善が、データセンターのエネルギー効率を最適化するのに最も効果的な方法の一つだという結論に至った」
冷却システムの改善についてThreeは、二酸化炭素(CO2)排出量の削減を目指すとともに、より大きな目標として持続可能なITシステムの構築を推進する一環だと説明する。
モハメド氏によると、EkkoSenseが実施した最初の調査で、冷却システムの最適化が合計196キロワットの消費電力削減につながる見込みであることが分かったという。これを年単位で考えると、171万6960キロワット時の消費電力量を削減できることになる。
EkkoSenseのSaaS(Software as a Service)「EkkoSoft Critical」を導入したことによる省エネプロジェクトの結果は、「当社の想定を上回った」とモハメド氏は語る。データセンターの冷却システムの改善だけで、データセンター全体で掲げていた消費電力の削減目標を実現できたためだ。この結果としてThreeは、消費電力量に関する年間23万3000ポンドの削減を目標に掲げることが可能となった。
EkkoSenseのCEOデイーン・ボイル氏によると、EkkoSoft Criticalは、データセンターの発熱量や冷却能力について詳細な洞察を提供する。「同サービスを使うことで、Threeは4カ所のデータセンターをきめ細かく管理できるようになる」とボイル氏は説明する。
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