築20年以上のデータセンターを“省エネ施設”に 通信会社Threeが実践する対策データセンターの消費電力削減【後編】

英国の移動通信事業者が、AI(人工知能)技術と仮想現実(VR)技術を使ってデータセンターの消費電力削減に取り組むベンダーと、データセンターの改善を実施。その効果とは。

2023年06月30日 05時15分 公開
[Caroline DonnellyTechTarget]

 世界的な課題として浮上する、データセンターにおける消費電力量の問題。英国の移動通信事業者Hutchison 3G UK(Threeの名称で事業展開)は、築20年を超える自社のデータセンターの省エネルギー(省エネ)化を目的に、あるベンダーと取り組んでいる。その成果とは。

築20年を超えるデータセンターを省エネ化 その成果は?

 Threeの取り組みを支援するのが、英国でデータセンターのエネルギー管理サービスを提供するEkkoSenseだ。同社はAI(人工知能)技術と仮想現実(VR)技術を使い、データセンターの消費電力量を削減するためのサービスを提供している。

 事業用不動産サービス会社CBREが、Threeのデータセンター刷新に関わっている。Threeでデータセンターの運用とサービスの準備担当のマネジャーを務めるシャミム・モハメド氏は、CBREとの協議についてこう語る。「CBREとの話し合いの中で、冷却システムの改善が、データセンターのエネルギー効率を最適化するのに最も効果的な方法の一つだという結論に至った」

 冷却システムの改善についてThreeは、二酸化炭素(CO2)排出量の削減を目指すとともに、より大きな目標として持続可能なITシステムの構築を推進する一環だと説明する。

 モハメド氏によると、EkkoSenseが実施した最初の調査で、冷却システムの最適化が合計196キロワットの消費電力削減につながる見込みであることが分かったという。これを年単位で考えると、171万6960キロワット時の消費電力量を削減できることになる。

 EkkoSenseのSaaS(Software as a Service)「EkkoSoft Critical」を導入したことによる省エネプロジェクトの結果は、「当社の想定を上回った」とモハメド氏は語る。データセンターの冷却システムの改善だけで、データセンター全体で掲げていた消費電力の削減目標を実現できたためだ。この結果としてThreeは、消費電力量に関する年間23万3000ポンドの削減を目標に掲げることが可能となった。

 EkkoSenseのCEOデイーン・ボイル氏によると、EkkoSoft Criticalは、データセンターの発熱量や冷却能力について詳細な洞察を提供する。「同サービスを使うことで、Threeは4カ所のデータセンターをきめ細かく管理できるようになる」とボイル氏は説明する。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news199.jpg

Yahoo!広告における脱デモグラフィックの配信・分析を実現 電通が「DESIRE Targeting」を提供開始
電通の消費者研究プロジェクトチームは、消費者を理解し、Yahoo!広告の配信や分析を実施...

news132.jpg

生成AIを業務で使わないマーケターはもはや3割以下 御社はどうする?
HubSpot Japanが日本で実施した調査によると、日本のマーケターの8割以上が従来のマーケ...

news168.jpg

新富裕層の攻略法 「インカムリッチ」の財布のひもを緩めるマーケティングとは?
パワーカップルの出現などでこれまでとは異なる富裕層が生まれつつあります。今回の無料e...