企業のシステムを支えるCOBOLや通信技術が誕生した背景には、女性エンジニアたちの活躍があった。ITの常識として知っておきたい女性エンジニアを紹介する。
ITとコンピュータサイエンスの発展の歴史において、女性エンジニアは重要な役割を果たしてきた。企業のミッションクリティカルなシステムを支えるプログラミング言語「COBOL」や、広く使われているある通信の要素技術は、女性エンジニアによって生み出されたものだ。ITの常識として知っておくべき、ITと女性エンジニアの歴史を紹介する。
コンピュータ分野の先駆者であるグレース・ホッパー氏は、数学博士であり、米国海軍の軍人でもあった。同氏は軍で開発プロジェクトに携わる中で、マシンに依存しない共通プログラミング言語の理論を発案。英語に近いプログラミング言語でプログラミングし、機械語に翻訳する技術「コンパイラ」を開発した。1959年にはその理論にのっとり、プログラミング言語「COBOL」を完成させた。
女優で発明家のヘディ・ラマー氏は1942年、無線信号を送信する技術「周波数ホッピング技術」の特許を取得。この技術は、当初はその価値を認められなかったものの、今では世界中の通信を支える無線LANやGPS(全地球測位システム)、近距離無線通信「Bluetooth」といった技術の基礎となっている。
「1980年代のパーソナルコンピュータの台頭と、1990年代のインターネット時代の幕開けにより、女性はIT業界で強力な地位を獲得した」。作家のマルグリット・ジエンターラ氏は、1987年出版の著書『Women, Technology and Power: Ten Stars and the History They Made』でこう話している。
例えば、この時代に活躍した女性として、IBMの上級職を務めたジョイス・レン氏や、会計ソフトウェアベンダーOpen Systemsの共同設立者であるアン・ウィンブラッド氏などが挙げられる。これらの女性は、所属する企業こそ違ったが、決断力や信念、パワー、苦労をいとわない姿勢といった基本的な性格は共通していたという。
IT産業の発展に伴い、女性が活躍する機会も増える傾向にある。現代のIT業界で活躍する女性リーダーとして、以下のような人物が挙げられる。
人材評価ツールベンダーMV Aurora(Searchlightの名称で事業展開)の共同設立者である双子のアナ・ワン氏とケリー・ワン氏も、新世代の女性ITリーダーと言える。
ワン姉妹は、博士号を持つ両親の下、STEM教育を重視する家庭で育った。アナ氏は13歳の時に通っていた公立高校の夏期プログラムで、プログラミング言語「Java」に出会い、ITに没頭することとなる。「コンピュータサイエンスが問題を解決する方法に魅了された。その夏は、ひたすらキーボードをたたいてアルゴリズムを組んでいた」(アナ・ワン氏)
MV Auroraが提供する人材評価ツール「Searchlight」は、バイアス(偏見)を排除したAI(人工知能)エンジンを搭載する。Searchlightは、従業員の適性やソフトスキル、仕事のスタイル、職務要件を理解する設計となっている。2024年4月、同社はITベンダーMultiverseにより買収されることを発表した。Multiverseは、Searchlightを自社サービスに統合する予定だ。
ケリー・ワン氏は、「IT業界の女性リーダーは、多くの女性が目指すべきロールモデルとしても、メンターとしても活躍できる。活躍している女性の姿を見れば、IT業界で働こうと考える女性はますます増えるだろう」と期待を込めて話す。
次回は、これからのIT業界で女性に求められる役割と、企業の取り組みを探る。
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