企業が「5G」に注目すべき背景には、5Gが実現するさまざまな用途がある。主要な4つの用途を説明する。
「5G」(第5世代移動通信システム)のサービスを提供する通信事業者は、頭打ちになる個人向け市場以上に、企業向け市場に目を向ける可能性がある。5G市場が早期に低迷してしまうことを防ぎ、5Gの需要を喚起するには、「4G」(第4世代移動通信システム)までにはなかった新しい用途の開拓とビジネスモデルの構築が必要だからだ。
市場調査会社Allied Business Intelligence(「ABI Research」の名称で事業展開)によると、企業向け市場における5Gの重要な用途には、次の4つがある。
通信事業者の中継網とエンドユーザー宅を無線で接続する「固定無線アクセス」(FWA:Fixed Wireless Access)の手段として、5Gを利用することが可能だ。ABI Researchのリャンジェ・スー氏によると、FWAは山間部や農村地帯にも通信範囲を拡大するのに役立つ。通信環境の良くなかった地域や、地方にある企業の営業所、へき地に居住する在宅勤務者も、5Gによる高速通信を利用できるようになる。
スー氏によると、5Gのプライベートネットワーク、いわゆる「ローカル5G」は、ローカライズされた自己完結型のネットワーク環境を実現する。例えば鉱業や医療の分野では、分離したエリアで安全な高信頼のデータ伝送が可能になる。特に医療分野の場合、ローカル5Gが「命を救うことにつながる」と、ABI Researchのリサーチディレクター、ディミトリス・マブラキス氏は語る。
「Open RAN」(Open Radio Access Network)は、汎用(はんよう)的なハードウェアと、オープンなインタフェースやソフトウェアを使用して、特定のベンダーに依存しないオープンな無線ネットワークを構築するための仕組みだ。マブラキス氏は「通信事業者は自社の5GサービスにOpen RANを組み込むことを検討すべきだ」と述べる。
これまでの移動通信システムの大半は、免許を必要とする周波数帯を使用する。通信事業者の5Gサービスも、免許が必要な周波数帯で運用されることになる。これに対して共用の周波数帯を利用する米国の「市民ブロードバンド無線サービス」(CBRS:Citizens Broadband Radio Service)がある。CBRSによる周波数帯共有によって、干渉を回避しながら、より多くの個人や企業が5Gを利用するための方法を提供する。
5Gで期待されるこうした用途は、主に企業向け市場で効果を発揮する。そのため「通信事業者は企業向け市場により注力するようになるだろう」とABI Researchはみる。企業向け市場がなければ、5Gの経済的可能性は最大限に実現しない。
2036年までには、企業のモバイル通信支出が個人の支出を上回るとABI Researchは予想する。「企業向け用途は、個人向け用途より重要になるだろう」とマブラキス氏は語る。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
多店舗展開を行う企業では、ネットワークの構成や運用ルールが店舗ごとに異なるケースが多く、管理の煩雑さや故障発生時の対応遅延などの課題を抱えがちだ。このような課題の解決策を、5つの事例から探る。
「出社しているのに業務クラウドに接続できず打刻ができない」「オンライン会議が落ちてしまう」など、インターネット回線に関するトラブルは今も後を絶たない。そこで注目したいのが、法人向けに設計された高速インターネットサービスだ。
建設現場では、データの大容量化に伴う通信回線の逼迫が業務の障壁となるケースが増えている。本資料では、ネットワークの再構築により通信環境を最適化し、意思決定の迅速化や安全対策の高度化を実現した企業の事例を紹介する。
セキュリティ対策に不可欠なWindows Updateだが、複数店舗・拠点を構える企業では回線が逼迫する要因であり、業務の停滞につながる大きな問題だ。あるアパレル小売チェーンの事例から、ネットワークの抜本的な改善策を紹介したい。
Wi-Fi環境は、業務の効率化や柔軟な働き方を支える重要な存在だ。しかし、従来の固定回線型Wi-Fiには、工事の手間や設置の制約といった課題がつきまとう。そこで注目したいのが、工事不要で導入できるWi-Fi製品だ。
セキュリティ、人材不足、管理負荷増――ネットワークの課題解決の最適解を探る (2025/6/20)
ビジネスの“生命線”となるネットワーク管理を効率化するための最適解とは? (2025/6/20)
IoTやAIのエッジでの活用も期待、組み込みコンピュータの今後はどうなる? (2025/5/23)
もし“キーマン”がいなくなったら? 属人化しないデータセンター運用の作り方 (2025/3/18)
多拠点ネットワークの苦悩「セキュリティ、運用負荷、コスト」をどう解消? (2025/2/20)
「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ
ネットワークの問題は「帯域幅を増やせば解決する」と考えてはいないだろうか。こうした誤解をしているIT担当者は珍しくない。ネットワークを快適に利用するために、持つべき視点とは。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...