新型コロナウイルス感染症による影響が拡大する中でも、人工知能(AI)技術や自動化技術の採用意欲は衰えていないことが調査で判明した。その背景には何があるのか。
2020年3月、オーストラリアの最大都市であるシドニーの私立男子校、Trinity Grammar School(トリニティーグラマースクール)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のためにオンライン授業へ移行した。その際にプロセス自動化ベンダーNintex Global(以下、Nintex)のワークフロー自動化サービス「Nintex Workflow Cloud」を使用し、学習者の出欠確認ワークフローを自動化した。
2020年8月現在、トリニティーグラマースクールは対策を継続しながら対面授業を再開している。一方で自動化した出欠確認のワークフローはまだ破棄していない。もしシドニーが再びロックダウンに突入した場合、簡単に元に戻すことができるように備えているという。
トリニティーグラマースクールが自動化の拡大へと軸足を移したのは「特異な事例ではない」と、Nintexの技術エバンジェリストであるテリー・シンプソン氏は言う。新型コロナウイルス感染症がこのようなデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させたということだ。
新型コロナウイルス感染症対策として、企業の間でAI(人工知能)技術や自動化を活用する動きが広がっている。「新型コロナウイルス感染症を理由として、現在さまざまな企業がAI技術に大きく賭けている」と、機械学習ベンダーAppenで最高技術責任者(CTO)を務めるウィルソン・パン氏は語る。
Appenは2020年6月、機械学習をはじめとしたAI技術に関する2020年版の年次報告書を発表した。報告書では企業に勤務している1000人以上の人を対象に、AI技術の利用状況について調査した。その結果、新型コロナウイルス感染症が自社のAI技術活用戦略に与える影響について「影響を及ぼさない」「加速させる」という回答は、合わせて70%に上った。中には「大幅に加速させる」という回答もあった。その半面、回答者の30%は、新型コロナウイルス感染症の影響によって「自社のAI技術活用プロジェクトに問題が起こり、何らかの重大な遅れが生じた」と答えている。
「新型コロナウイルス感染症の流行が続く間も、企業はAI技術への投資を継続し、場合によっては増えることもある」とパン氏は予想する。AI技術や自動化は、従業員の削減や在宅勤務などのテレワークを強いられる中で、作業の遂行を助ける存在になり得るという評価だ。
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