在宅勤務に「予備のインターネット回線」は必要か? 選択すべき回線は?冗長化にはコストがかかるケースも

在宅勤務が継続する中で業務効率の維持・向上を図るには、安定したインターネット接続が欠かせない。接続が不安定な場合の有力な改善策が、予備の回線を使うことだ。検討から運用までの確認事項を紹介する。

2020年12月05日 05時00分 公開
[Andrew FroehlichTechTarget]

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 在宅勤務の制度が広がる中では、従業員の自宅のインターネット回線が重要になる。住宅用のインターネット回線はデータ伝送速度や接続の安定性が業務用として不十分なこともあり、その場合は仕事に支障を来す。チャットやWeb会議などの機能を備えたユニファイドコミュニケーション(UC)ツールで常時通信していなければならない在宅勤務者にとって、これは重大な問題だ。

 従業員の自宅のインターネット接続を改善する際、予備のインターネット回線を導入することが選択肢となる。そもそも改善が必要かどうかを検討するために確認すべき点と、個々の改善策の利点や注意点を解説する。

確認事項1.予備のインターネット回線が必要かどうか

 まず、従業員の自宅に予備のインターネット回線が必要かどうかを確認する。この判断はシンプルに進めればよい。頻繁に接続が途切れるなどインターネット接続の安定性の悪さが原因で日常業務に支障が出ているようであれば、その必要性が高い。従業員から予備の回線を用意してほしいという要望が出ることもあるだろう。

 インターネット回線には問題がなくても、業務で多くの帯域幅(回線容量)を消費するアプリケーションを利用しているために十分なスループット(データ伝送速度)が出ないこともある。その場合は、アップロード(上り)とダウンロード(下り)がより高速な、予備のインターネット回線の利用を検討する。

確認事項2.予備のインターネット回線に何を選ぶか

 予備として利用可能なインターネット回線の種類は、従業員の居住地域によって異なる。一般的な住宅用インターネット回線としては光回線(FTTH)に加えて、「ADSL」をはじめとする「DSL」(デジタル加入者回線)などがある。無線のインターネット回線としては「LTE」を含む「4G」(第4世代移動通信システム)や「5G」(第5世代移動通信システム)、「FWA」(固定無線アクセスシステム)などがある。

 人工衛星を介したインターネット接続サービスもあるが、データ伝送速度は概して遅い。場所によってはイーサネットを使う都市内ネットワーク「メトロイーサネット」や無線によるポイントツーポイント接続といったプライベートネットワークを利用できる場合もある。

確認事項3.インターネット回線をどのように冗長化するか

 予備のインターネット回線を導入すれば、回線を冗長化して一方に問題が発生した場合は予備の回線に切り替える自動フェイルオーバーや、両回線を同時に使用することによる負荷分散が可能になる。ただし、これらの場合は必要な機能を備えたネットワーク機器を従業員の自宅に設置する必要があり、コストが膨らみやすい。

 プラグアンドプレイ(接続するだけで自動的に使えるようになる仕組み)で利用開始できるネットワーク機器なら、技術的な知識のない従業員でも導入しやすい。WANを介してLAN同士を接続する「リモートルーター」を使う選択肢もある。リモートルーターはIT部門が遠隔操作で従業員宅のインターネット接続の稼働データを収集・解析できるため、接続に問題が発生したときのトラブルシューティングが容易だ。

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