組織のネットワークを支えてきた無線LAN。通信技術や用途にさまざまな変化が起こる中で、無線LANにも変化の兆しがある。今後の無線LANはどうなるのか。
無線LAN分野では「Wi-Fi 6」(IEEE 802.11ax)の拡張版である「Wi-Fi 6E」や、その次世代の「Wi-Fi 7」(IEEE 802.11be)といった規格が今後の主流になると考えられる。ただし企業の選択肢は、単に古い規格から新しい規格へのアップグレードだけではない。移動通信の発展や、アプリケーションの多様化などが無線LANに影響を与えているからだ。今後の無線LANの選択肢を考えてみよう。
調査会社ABI Researchが無線LAN分野において注目するのは、「5G」(第5世代移動通信システム)をプライベートネットワークとして利用する「プライベート5G」が台頭してきたことだ。同社は、今後は無線LANと移動通信を1つのプライベートネットワークで提供する製品・サービスが多様化してくると予測する。そうした製品・サービスを、ここでは「統合型プライベートネットワーク」と呼ぼう。
ABI Researchは、統合型プライベートネットワークが企業のネットワークにおいて全面的に採用されることはないと分析する。大半の企業は、使い慣れた従来の技術に安心感を覚えるからだ。特に教育や接客、小売りなど屋内でのネットワーク利用が中心の組織は、使い慣れた無線LANに依存し続けると同社はみる。一方で、屋外の広大な敷地で仕事をする農業などの産業は、無線LANよりも移動通信の方が適しているとABI Researchは分析する。
無線LANと5Gの統合型プライベートネットワークが普及する可能性のある分野として、ABI Researchは製造、倉庫、医療の3業種を挙げる。特に適していると考えられる用途は、
などだ。
「統合型ネットワークの最適な市場は、長距離かつ超低レイテンシの通信を必要とするアプリケーションへの依存度が高い産業だ」。ABI Researchのアナリスト、アンドリュー・スパイビー氏はそう語る。
今後半世紀にわたって、無線LAN分野ではさまざまなイノベーション(技術革新)が起きる可能性がある。例えば
などが考えられる。こうした新たな動きはユーザー企業にとって興味深い話題だ。スパイビー氏は「さまざまなベンダーが無線LAN分野の新しい動向を把握しておくことも今後の発展に欠かせない」と話す。
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