止まることなく続く各種ストレージの進化。SSDの大容量をはじめとした多様な技術開発が進む中で、HDDは一見して存在感を失いつつあった。だが昨今の事情を踏まえると、HDDを取り巻く状況は変わる可能性がある。
企業やエンドユーザーは、高速にデータの読み書きができて、より大容量を保存可能なストレージを待ち望んでいる。そうした中で、「SSD」の利用が拡大して「HDD」には将来性がないとみる見方があった。だがHDDの昨今の事情を踏まえると、HDDの存在を見直さなければならない可能性がある。
ストレージ業界はストレージ製品の容量を増大させることで、企業のデータ保管量が増加する問題に対処してきた。だが「ストレージ業界の将来が安泰だ」とは言えない。ストレージ分野の将来を支え得る「全く新しいストレージ」として有望な特定の技術は、2023年時点では存在しないからだ。
SSDやHDD、磁気テープ、光ディスクなど既に商用化しているストレージに、企業は今後も頼ることになる。言い換えれば、ストレージベンダーは今後もこれらのストレージの技術改善を継続していく必要がある。幸いにも各種ストレージの容量増大は2023年時点では順調に進んでいる。
SSDが台頭する中で存在感を失ってきたHDDも同様だ。近年、「HDDの終焉(しゅうえん)」を示唆する言動が各所で聞かれるようになったが、そうした見方は現実とは異なる。
HDD市場は活況を呈し、HDDの容量は過去には想像もできなかったほどに大容量化している。ストレージベンダーのWestern Digitalは容量26TBのHDDを提供し始めており、Seagate Technologyは2023年中に容量30TBを超えるHDDを発売する計画だ。
データの保存領域の高密度化を実現するために、HDDを提供するストレージベンダーは、
といった技術に目を向けている。
HDDの技術進化は記録密度の向上だけではなく、ストレージを接続するインタフェースにおいても見られる。例えばストレージプロトコル「NVMe」(Non-Volatile Memory Express)で接続するHDDの研究開発が進んでいることだ。本来はSSDの利用を前提にしているNVMeの利点をHDDでも実現できるようになれば、HDDのデータ転送速度が大幅に向上する可能性がある。NVMe接続のHDDは、特に磁気ヘッドを動かすための部品である「アクチュエータ」を複数搭載することで読み書き性能を高めるHDDに、その利点をもたらすと考えられる。
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